出版社内容情報
ネトウヨ的世界観・政治が猛威をふるう現代日本。アイロニーに嵌り込む左派知識人。リベラル再起動のための視角を提示する渾身作!
北田 暁大[キタダ アキヒロ]
著・文・その他
内容説明
希望はどこに?「脱成長」を優しげに語り、ロスジェネなどの経済的に困窮した人びとを放置する左派知識人たち。いまなお猛威を振るうネトウヨ的世界観・政治。隘路を突破すべく、「日本型ニューディール」を立ち上げよ!人びとの切実なニーズをすくい取り、精緻な設計図を携えたソーシャル・リベラリズムを起動せよ!ネトウヨ化した政治と訣別するための、渾身の書。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブロッコ・リー
7
嗤う日本の「ナショナリズム」の後継本とのことだが、前著同様にタイトルから想像される内容と中身に大きなギャップがある。失われた20年とはロスジェネ世代のことで既に散々消費されたブツであること、加えて当時の青年は今の冴えない中年に成り果て世間的にはロスト、でも一世代としては存在していること。彼らに依拠してきた社会学者も清く正しく先細りせよ等と滅びの美学=ロマンと精神主義(今も昔も無かった美的価値ある日本人像)ばかり述べて、安倍のミクスに対抗軸を提示できないばかりか、推進してること、そんなこんなにガーッと怒った2019/10/22
ぷほは
7
学生時代に読んだ『嗤う日本のナショナリズム』の前提が、政治面や文化面の双方で文脈を失い、私は現代の学生世代といくつかの対話の条件を探せないでいる。2ちゃんねるを知らないし、電車男も知らないのが当たり前だ。そして年長世代との対話の糸口も果たして見つけられたのかは甚だ心もとない。読んでいるとこれ自体左翼の内ゲバめいた不毛さを感じる部分も多々あるが、経済的な議論をすべきという意見には否定すべき箇所はない。ただ、活動家でも評論家でもない著者がやってきたことを否定せずに、この悲鳴のような言葉に耳を傾けることは。。。2018/06/29
Myrmidon
2
それなりに楽しく読めたが、現在読む価値があるかと言えば微妙かな。理論的な書物というよりは、『北田暁大・怒りの咆哮2018』的な、ある種の方向性やまとまりはあるが、表面的には雑多な評論集。三部構成で、第一部は経済的な部分を無視して感覚的な移民否定論を唱える上野千鶴子への激烈な批判と上野との対談、やや冷静な上野評。第二部は対談中心で、三浦雅士との『現代思想』昔話、橋本健二&原武史との東京の地域論、ブレイディみかことの日本左派批判、北田単独の日本リベラル批判、第三部はそこそこ有名ゲスト陣との短い時事対話。2022/06/07
shin
2
こちとらまだまだ日本社会で生きていくんじゃ、人生上がりの奴らがなにを諦めたような口を聞いているんだという怒りとともに、中長期的な視野を失った野党を始めとする左派勢力に喝を入れている。路上に出るのもいいけど、Twitterやるのもいいけど、北田先生はやっぱり学者として論壇で戦ってほしかったのでこういう本が読めて嬉しい。2018/10/21
saiikitogohu
1
「大澤氏は、日本のオタクたちに見られる現実への徹底的な相対主義的態度(アイロニズム)が、『にもかかわらず、であるがゆえに』逆接的に特定の世界観ㆍ対象への没入を可能にする、という逆接を『アイロニカルな没入』と表現している…あらゆる世界の出来事を相対主義的に、ということは自らを全体の俯瞰者の位置に置くことにより、アイロニストは現存する『俗世的』な価値や規範に対する優位性を獲得する…『相対的なものでしかない』ことを認識せずに特定の価値ㆍ規範を主張する他者を、構造的に劣意におくことができる」(23)2018/07/15