内容説明
滔滔と流れて来た日本文学の遺産を継いで、近代文学史上に長大な影を落した泉鏡花。その鏡花の生い立ちから死まで、鏡花文学の原質を形成する特異な人間性を、師・尾崎紅葉に許されなかった恋愛や樋口一葉への手紙、夏目漱石への借金といったさまざまなエピソードで浮き彫りにした力作評伝。
目次
1 生いたち
2 新進作家への道(紅葉の玄関番;処女作「冠弥左衛門」;一葉への手紙)
3 「婦系図」の現実と虚構(すずとの同棲;竹風の助言)
4 自然主義の流れの中で(文芸革新会;白樺派との出会い;三田文学との交流)
5 多彩な後半生(湯どうふと鳥鍋;谷崎と芥川;鏡花全集の発行;秋声をなぐる;化かされた池島信平)
6 その死
泉鏡花年譜