内容説明
総勢49名の豪華執筆陣が、古典から現代まで60人の作家/作品を通して、読者を旅に誘うエッセイ集。
目次
1 古典の世界
2 近代文学の開拓者
3 近代の小説家
4 近代の詩人
5 解放と分断と朝鮮戦争(1945年~)
6 独裁政権と産業化の時代(1960年代~)
7 今日の韓国分学(民主化以降:1990年代~)
著者等紹介
波田野節子[ハタノセツコ]
新潟県立大学名誉教授。韓国近代文学
斎藤真理子[サイトウマリコ]
翻訳者。『カステラ』(パク・ミンギュ著、ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)で第一回日本翻訳大賞受賞。『ヒョンナムオッパヘ』(チョ・ナムジュ他著、白水社)で“韓国文学翻訳賞”翻訳大賞(韓国文学翻訳院主催)受賞
きむふな[キムフナ]
日韓の文芸翻訳者。韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
M H
27
翻訳がずいぶん増えて、外国文学の棚でも存在感がある韓国文学。古典から現代までを概観する濃密なエッセイ集かつ優れたブックガイド。執筆者の体験を交えながら社会情勢が端的に解説されているせいか、紹介されている詩に心を打たれることもしばしば。気になった作家はたくさんいるが、打ちのめされて挫折した「こびとが打ち上げた小さなボール」はやはり読み通したいし、パク・ミンギュ作品は今後も訳されてほしい。2021/10/17
ケイティ
25
最近の韓国文学が好きでもっときちんと知りたいと手に取ったけど、にわかの私には少々ハードでした笑。けれど、古典から現在まで時系列で解説されていて、その時々の思想や社会状況との繋がりがとても詳細。現代文学をメインに楽しみましたが、韓国はずっと激動にさらされていて、短期間で色々動いているスピードが速いように感じた。知りたいきっかけとなった韓国の「生きづらさ」は、このボリュームにかかるとまだごく僅かな歴史。政治的な側面や関係か、フェミニズムばかりが矢面に立つが、韓国文学研究や考察として純粋に理解を深める良書です。2021/06/24
かもめ通信
21
韓国の文学や文化に関心をもつ人に向けた、文学を手掛かりに韓国に旅立つための案内書。49人ものそうそうたる執筆陣が、古典から現代までの作家と作品について「場所」をキーワードに語りあげ、文学周辺の事情の理解を助けるコラムも収録しているといううたい文句のとおり、びっしりも字が詰まっていて、白黒ながら参考になる写真もあり、巻末の読書案内(書籍リスト)も充実。またまた読みたい本のリストを伸ばしてしまった。2022/03/12
崩紫サロメ
21
王朝時代から21世紀までの文学者を紹介する。それぞれの代表作とともにその生涯が紹介されており、それを通してその時代の特質などを感じることができる。例えば金洙暎(1921-68)の項目では、彼が朝鮮戦争中に北に連行された自由とは何かを問い続けた作家であると共に、日本語を母語とし、漢字を多用した韓国語で執筆していたため、韓国語の純化運動こそが「言語の収容所」となった作家であるという。韓国文学の中で漢字語はどうなっていくのか、関心を持っているので興味深く読んだ。一つ一つの項目が読み応えがあった。2021/04/25
二人娘の父
7
素晴らしい【韓国文学】ガイドでした。登場する作家の数、そしてそれを解説するガイドの数が、私のような韓国文学初級レベルのものにとっては圧倒的。パンソリから始まり、最後はなじみのあるハン・ガン、キム・エラン、チョン・セランまで、韓国文学を概括できる。個人的に新たに興味を持ったのはやはり日帝時代から終戦、そして独裁政権時代の文学者。同時並行で読んでいた「短編小説選」とも相俟って、この時代への興味が一気に膨れ上がる。また金芝河の晩年など知らぬことも多く、今後もガイドとして頼りにしたい一冊である。2024/05/18