内容説明
世界最大のシステム開発プロジェクトである、三菱東京UFJ銀行のシステム完全統合「Day2」。その開発工数は11万人月、開発期間は3年弱、2500億円が投じられ、ピーク時には6000人の技術者が参画した。これだけの規模のプロジェクトを大きなトラブルなく予算・納期どおりに完遂できたのは、同行が綿密な計画を立て、6000人が各自の持ち場で計画を着実に実行し、経営陣と利用部門が全面支援したからだ。本書では、当事者だけが知る取り組みと創意工夫を細部まで網羅した。プロジェクトマネジメントとシステム開発の「正攻法」を貫き通した「Day2」を知ることで、あらゆる企業やプロジェクトに通用する正攻法が学べる。
目次
第1章 システム統合の全体像
第2章 プロジェクト準備
第3章 管理フレームワーク
第4章 設計・開発計画
第5章 士気向上策
第6章 利用部門の支援
第7章 テスト・移行計画
第8章 完遂への10か条
第9章 経営層のリーダーシップ
第10章 IT企業の奮闘
付録1 キーワード解説
付録2 資料編
著者等紹介
大和田尚孝[オオワダナオタカ]
ユーザー企業のシステム子会社を経て日経BP社に転じ、日経コンピュータ記者として大規模システムの稼働事例などの取材・執筆を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
87
この本は銀行統合プロジェクトの成功の要因が様々に説明されています。銀行内部やITベンダーなどについて書かれていますが、私は何よりもトップの関与が一番であると思われます。東京三菱の場合は、そのノウハウについてはわかりませんが歴代の頭取が少なくともシステムについては重要でありかなりの危機意識を持っていることです。この本でも畔柳会長、永易頭取がきちんと発言されています。それと比較するとあるメガバンクは、トップは権力闘争ばかりしてシステムには一顧だにしません。ですから2度の大規模障害を引き起こしたのでは?2015/12/05
嘴
2
11万人月のプロジェクトを大きなトラブルなく完了させた記録。巨大プロジェクトの場合、リスク管理と進捗管理も重要だが、トップがいかに立ち回るかというのが重要だと再認識させられる本。2017/03/30
sekitak
2
どうやって壁を乗りこたかというよりは、どうやって壁をなくしていったか、という感じだった。内容もかなり上の方から覗きこんだプロジェクトの過程を表していると思う。失敗学の本の延長線上で読もうとすると、賛美につぐ賛美でかなり物足りない。2013/02/03
tatsuaki_g
2
史上最大のシステム開発プロジェクトのルポ。体制作りの規模と精度が半端ない、壮大な30人31足。こういうことさせたら日本の大企業はなまじの軍隊組織を凌駕する。おれ、日本人でいつづける自信なし。全てが正攻法なだけに失敗談があればそれも知りたかった。2012/01/05
zffy
1
説明はあまりシステムの専門的な記載になっていないので、ITシステムかじりはじめの人でも分かるようになっている。 正攻法、とあるので、一見すると目新しいアイディアはない。 (曖昧さをなくす、ヒトモノカネの投入など) トップから末端までの、組織全体がITシステムを理解し、プロジェクト成功に向けて進めたのが分かる。 重要な点としては、トップがITの重要性に対して正しい理解を持ち、かつ、予算を柔軟に使えてこそ、 の、成功。2020/05/17