エボラの正体―死のウイルスの謎を追う

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エボラの正体―死のウイルスの謎を追う

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822250751
  • NDC分類 493.87
  • Cコード C0034

出版社内容情報

2014年に西アフリカ3カ国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)を襲ったエボラウイルス病のアウトブレイクは、過去最悪の事態となった。WHO(世界保健機関)の発表によると、感染者数は1万5935人、死者数は5689人に達した。エボラウイルスが最初に出現したのは1976年。それ以来、散発的に姿を見せて人々の命を奪ってきたが、今回のアウトブレイクでは、感染者数、死亡数とも、過去のアウトブレイクのトータルの合計数をはるかに上回った。終息のメドはいまだに立っていない。

 本書は、エボラについて、現在までにわかっていること、研究の余地がある点、危険極まりないウイルスを抑制しようとしている人々の努力などを、エボラと人間の戦いの歴史を振り返りながら、次のような疑問に答える。

・エボラによる死者数、感染者数が爆発的に増加した原因は何か? 
・エボラウイルスはどんなウイルスなのか? 
・それはどこから来たのか? 
・どのウイルスも長期にわたって複製と生存を続けるためには、何らかの生物(宿主)に棲みつかなければならない。その生物とはいったい何なのか? 
・その生物からどのように人間に移動したのか? 
・新種のウイルスはコントロールできるのか? 
・これまでにエボラに似たウイルスはあったのか?
・エボラは投薬治療やワクチンで対処できるのか? 
・アウトブレイクを止めることは可能なのか? 
・エボラは進化しているのか? 
・パンデミックとなり、人口の数分の一を殺してしまうことになるのだろうか?


 エボラなど最近出現してきた感染症ウイルスは、アフリカの熱帯地方の森林に住む動物の中に長い間ずっと潜んできた。しかし、森林伐採や鉱物資源の発掘などで森が切り開かれ、ウイルスに接触する「機会」の増加がしたことが、最近の感染症ウイルス流行の原因とされている。
 日本は、アフリカの熱帯材輸入国や鉱物資源に関して、世界有数の大輸入国だ。したがって日本人は、エボラウイルスの発生、流行と決して無関係ではない。

 全世界が一丸となってエボラの対策に向き合わなければならない今、本書には地球市民の一人として行動するために身につけておくべき知識が網羅されている。

イントロダクション 巧妙に姿を隠す人獣共通感染ウイルス 
Chapter1:山積みにされた13頭のゴリラの死体 
Chapter2:浮かび上がってきたいくつかの共通点 
Chapter3:姿を消した多数のゴリラとウイルス 
Chapter4:エボラはどこに隠れているのか? 
Chapter5:アフリカ外に感染を持ち出した最初の人物 
Chapter6:あらゆる伝播は勝者総取りの宝くじ 
Chapter7:フィリピンまで7000マイル移動の謎 
Chapter8:人間の形をした悪霊 
Chapter9:正確さ欠く『ホット・ゾーン』
Chapter10:エボラに感染した2人の研究者の明暗 
Chapter11:手袋を突き抜けた針 
Chapter12:人間がエボラの生息地の中にいる
Chapter13:伝播先はウイルスが自分で考える 
Chapter14:波動説か粒子説か 
Chapter15:すべては機会のもたらす産物 
Chapter16:重要な保有宿主としてのコウモリ 
Chapter17:マールブルグとエボラに関する画期的発見 
Chapter18:冒険旅行の犠牲者 
Chapter19:移動するコウモリの群れ 
Chapter20:一人の少女にまつわるエピソード 
Chapter21:ウイルスも動物も人も共存している 
エピローグ エボラはさらに進化し、適応力を身につける解説 西原智昭(WCSコンゴ共和国自然環境保全・技術顧問) 

【著者紹介】
作家、ジャーナリストとして世界のさまざまな辺境を旅しながら『ハーパーズ』『エスクァイア』『アトランティック』『ローリングストーン』『ニューヨークタイムズ』などの各メディアで記事を執筆するとともに、『ナショナルジオグラフィック』誌の寄稿記者も務めている。そのジャーナリストとしての活動によって過去3度アメリカ国民雑誌賞を受賞、米国文芸学会からも学術文学賞を授与されている。多数の小説だけでなく、科学、自然史に関するいくつかの著作がある。本書のベースとなった『Spillover(スピルオーバー)』では、エボラやSARSなど致死率の高いウイルスがどのようにして人間以外の生物から人間に乗り移ったのかを追い、アメリカでは科学記者国民協会の国民雑誌賞を、イギリスでは生物学図書協会賞を受賞している。

内容説明

エボラは人獣共通感染症である。人獣共通感染症とは人間にも感染する可能性のある動物由来の感染症のこと。人獣共通感染症ウイルスは隠れることができる。病気が姿を消したように見えるときでもどこかに潜んでいるのは間違いない―。

目次

山積みにされた13頭のゴリラの死体
浮かび上がってきたいくつかの共通点
姿を消した多数のゴリラとウイルス
エボラはどこに隠れているのか?
アフリカ外に感染を持ち出した最初の人物
あらゆる伝播は勝者総取りの宝くじ
フィリピンまで7000マイル移動の謎
人間の形をした悪霊
正確さ欠く『ホット・ゾーン』
エボラに感染した2人の研究者の明暗〔ほか〕

著者等紹介

クアメン,デビッド[クアメン,デビッド] [Quammen,David]
作家、ジャーナリストとして世界のさまざまな辺境を旅しながら『ハーパーズ』『エスクァイア』『アトランティック』『ローリングストーン』『ニューヨークタイムズ』などの各メディアで記事を執筆するとともに、『ナショナルジオグラフィック』誌の寄稿記者も務めている。そのジャーナリストとしての活動によって過去3度アメリカ国民雑誌賞を受賞、米国文芸学会からも学術文学賞を授与されている。多数の小説だけでなく、科学、自然史に関するいくつかの著作がある。『Spillover(スピルオーバー)』では、エボラやSARSなど致死率の高いウイルスがどのようにして人間以外の生物から人間に乗り移ったのかを追い、アメリカでは科学記者国民協会の国民雑誌賞を、イギリスでは生物学図書協会賞を受賞している

山本光伸[ヤマモトミツノブ]
1941年、東京生まれ。国際基督教大学歴史学科卒業。英米文学翻訳家。(株)柏艪舎代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

★YUKA★

44
昔読んだ『ホット・ゾーン』の描写がとても衝撃的で、でもなぜかとても興味を惹かれたのを思い出しました。でも、プレストンの描写は正確ではなかったのですね。 エボラの他にも致死率の高い新しいウイルスも発見されている事を知り、恐くなりました。 この先、治癒率の高い薬が開発されても、また新しいウイルスが現れて。訳者のあとがきにもありましたが、永遠の追いかけっこですね。2015/10/25

壱萬弐仟縁

28
96年2月マイブート村。高熱、頭痛、嘔吐、充血、歯茎出血、しゃっくり、筋肉痛、咽痛、出血込下痢(10頁)。チンパンジー料理で。’94年12月イヴィンド川上流で上記のような症状(21頁~)。エボラ初出は’76年(35頁)。’77年ザイールの教会病院で少女死亡。臓器内でウイルス複製(47頁)。’07年西ウガンダで5種目のエボラ出現。フィリピンへ7千マイル移動の謎(59頁~)。黄熱ウイルスはサルから。サル痘はリスから。2015/03/18

ヨクト

22
2014年西アフリアで大発生(アウトブレイク)したエボラ。感染者は既に一万人を超え、死者数は5千人以上にのぼる。そう致死率が50%以上の悪魔の感染症なのだ。空気感染はしないが感染者の血液・唾液・汗等の体液を通じて移る。その感染力たるや。つまりは伝染性はそれほどでもないが、感染力が恐ろしいのだ。さらに恐ろしいのはエボラは人獣共通感染症(ズーノーシス)であるため、人間界で収まったとしても野生動物界で規模を拡大し、また人間界にもどってくるのだ。その媒体である動物はコウモリであるという説が有力である。2015/01/17

あかり

11
図書館本。初めて病名を耳にしたのは「エボラ出血熱」。その後出血を伴わない症例も多く「エボラウイルス」と呼ばれるように。1976年頃からすでにエボラのアウトブレイクが発生していたこと、近年まで保有宿主となる動物が不明だったことに驚きを隠せない。エボラとの戦いは続く。2018/02/13

starbro

11
昨日の「夏の災厄」に続いてウイルスシリーズで、こちらはノンフィクションです。現状はまだアフリカ大陸に留まっていますが、ウイルスの進化は早いので、他大陸にも十分伝染する可能性を考えると怖いものがあります。根本原因は以前解明されていませんが、熱帯雨林の乱開発も一つの原因の可能性が高く、熱帯材の大量消費国の日本にも少なからず責任がありそうです。まさに悪い意味での「風が吹けば桶屋が儲かる」状態です。2015/03/21

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