ツルゲーネフ全集

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ツルゲーネフ全集

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  • サイズ A5判/ページ数 10冊/高さ 22cm
  • 商品コード 9784820594451
  • NDC分類 988
  • Cコード C0397

出版社内容情報

ツルゲーネフ全集
全10巻復刻版
本体125,000円
A5判

降りそそぐ落葉のように胸をうつ詩情、さまざまな人間の典型を描き、存在させたツルゲーネフ文学のすべて。
ツルゲーネフ文学邦訳史の一到達点を示す記念碑的全集!
静的(スタッティック)な人生観照と透徹した現実凝視によって自然、愛との出会いと挽歌、社会制度の齎す人間性への桎梏などを描いた、二葉亭四迷訳の『あひゞき』(明治21年)、『めぐりあひ』(明治21~22年)にはじまるツルゲーネフ文学邦訳史の一到達点を示す記念碑的全集!


昇曙夢・熊沢復六・下永融・八住利雄・米川正夫・原久一郎・中村白葉
復刻版解説
佐藤清郎
底本=「ツルゲーネフ全集」(全10巻)六藝社版
内容
1.ルーヂン 淀み
2.貴族の巣 めぐりあひ ベトゥシコフ
3.その前夜 ファウスト
4.父と子 恋の凱旋
5.煙 アーシャ
6.処女地
7.8.猟人日記(上・下)
9.散文詩(SENILIA)散文詩拾遺 曠野のリヤ王他
10.月とひの村 田舎をんな 食客


『ツルゲーネフ全集』によせて
佐藤清郎
(元大阪大学教授・前早稲田大学客員教授)
かつてドストエフスキーが「われわれはみなゴーゴリの『外套』から出てきた」と言ったというひそみにならうなら、日本の近代文学は「ツルゲーネフの『あひゞき』と『めぐりあひ』から出てきた」と言えるかも知れない。
独歩の『武蔵野』も、『空知川の岸辺』も、蘆花の『自然と人生』も、藤村の『千曲川のスケッチ』もツルゲーネフの影響下に書かれたものであることは同時代人の回想を待つまでもあるまい。
明治・大正・昭和初期の作家で多少ともツルゲーネフの影響を受けなかったものは少ないと思う。
今度、新しい装いでその懐しい作品が復刻版として出ることはまことに嬉しい。
私たちは先人たちの訳筆に依って数々の名作に再び接することができるだけでなく、その「時代」の空気まで嗅ぐことができる。
数少ないツルゲーネフの伝記(『ツルゲーネフの生涯』筑摩書房)の著者である私にはこの作家はいつまでも懐しく、貴重な存在なのである。


訳者●点描
熊沢復六
くまざわまたろく(1899~1971)
ロシア文学者・翻訳家・愛知大学教授。
明治32年4月8日、名古屋市に生まれる。
大正10年3月、東京外語露語部卒。
築地小劇場文芸部を経て昭和23年より愛知大学教授。
社会主義文学理論の著書・翻訳および小説の翻訳など多数。
著訳書『文芸評論』(昭和10年、三笠書房)、『リアリズム文学論』(昭和12年、清和書店)ほか。
昭和46年12月16日没。

米川正夫
よねかわまさお(1891~1965)
ロシア文学者・翻訳家。
早大教授。
明治24年11月25日、岡山県高梁町に生まれる。
東京外語露語部卒。
三菱合資・旭川第七師団・大蔵省・陸軍大学など歴任ののち早大教授。
『ドストエフスイ全集』(河出書房・同新社版。前者は昭和26年、読売文学賞受賞)。
ツルゲーネフ、トルストイ、エレンブルグ等の訳は厖大な数にのぽる。
著書は『ロシヤ文学史』『ドストエフスキイ研究』他。
昭和40年12月29日没。

昇 曙夢
のぼりしょむ(1878~1958)
翻訳家。
本名・昇直隆。
鹿児島県奄美大島に生まれる。
明治36年7月、正教神学校(七年制)卒業、同校の講師となる。
著書に『露国文豪ゴーゴリ』(明治37年、春陽堂)『露西亜文学研究』(明治40年)、『露国現代の思潮及文学』(昭和4年、新潮社)ほか。
訳にゴーリキー『どん底』、ドストエフスキー『虐げられし人々』、およびツルゲーネフ、エレンブルグの作品ほか多数。
昭和33年11月12日没。

原久一郎
はらひさいちろう(1890~1971)
翻訳家・早大講師。
明治23年4月10日、新潟県北原町に生まれる。早大英文科卒。
東京外語選科に学ぶ。
著書『トルストイ伝』(昭和4年)、『トルストイ-生涯と作品』『人間トルストイ』(昭和41年、實業之日本社)ほか。
訳書『大トルストイ伝』昭和2~3年、(新潮社)『大トルストイ全集』(全22巻=昭和11~12年、中央公論社)『トルストイ全集』(全47巻=昭和24~30年、講談社)をはじめ、ドストエフスキー、ゴーゴリ、ツルゲーネフ、ショーロホフなど多くの訳がある。
昭和46年10月19日没。

中村白葉
なかむらはくよう(1890~1974)
翻訳家。
本名・長三郎。明治23年11月23日、兵庫県に生まれる。
明治5年、東京外語露語科卒。
鉄道院・読売新聞社に勤めるがのち著作・翻訳に専念。
小説『密蜂の如く』(大正12年、金星堂)、『ここまで生きてきた 私の八十年』(昭和46年、河出書房新社)、『ドストエフスキイ 罪と罰』(七分冊=大正4年、新潮社)、米川正夫と共訳の『トルストイ全集』(全22巻、昭和4~6年)、個人訳『チェーホフ全集』(全18巻=昭和8~11年、金星堂)、『トルストイ全集』(新訳版、および同新版=全19巻別巻1)を女婿中村〔下永〕融と共訳(昭和47~53年、河出書房新社)ほか著訳書多数。
昭和49年8月12日没。

下永(中村)融
しもながとおる(1911~1990)
ロシア文学者。
明治44年10月9日、長崎県に生まれる。
本姓・下永、中村白葉の女婿。
東京外語露語部卒。
大阪幼年学校教官をへて明治大学教授。
『チエーホフ論改』(訳=昭和8年、三学書房)、『ドストエフスキーの文学』(昭和26年、實業之日本社)、ゴーゴリ『死せる魂』(昭和37年、新潮社)、トルストイ『戦争と平和』(昭和47年、筑摩書房)、『アンナ・カレーニナ』(全7巻=昭和40~43年、岩波文庫)など多くの著訳がある。
平成2年4月29日没。

八住利雄
やすみとしお(1903~1991)
シナリオ作家・翻訳家。
明治36年4月6日、大阪に生まれる。
早大露文科卒。
翻訳・新劇活動をへてPCLに入社、昭和11年第一作『武士道朗らかなりし頃』(松井稔監督)を発表、以降東宝専属となり『樋ロー葉』(昭和14年)、『おもかげの街』(昭和17年)、『伊那の勘太郎』など脚色。
戦後はフリーとなり、『民衆の敵』『女の一生』『雪国』『暗夜行路』などのほか主として文芸作品を手がけた。
著書にシナリオ集およびロシア文学の訳書など多数。
平成3年5月22日没。