内容説明
諌早を愛し、諌早を生きた作家野呂邦暢の没後十五年。その繊細な文学世界のひだに分け入った待望の野呂邦暢論。
目次
二つの故郷
少年時代
惜しめただ若き日を
地峡の町にて
伊東静雄との邂逅
ある男の故郷
初期の短篇
鳥たちの河口
草のつるぎ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Voodoo Kami
4
昨今の野呂邦暢再評価よりはるか以前に書かれた評論・評伝。著者も諌早で野呂さんと同じ時を生きていたことが、単に「ローカル色豊か」という形容では収まりきれない対象との厳しくも密な距離を感じさせます。諌早に住み諌早を書いた作家の評伝を、諌早に暮らした中野さんが1995年に書き、それを2016年の今、諌早に住む私が読んでいるのに、そこに著されていることはほとんど普遍的で少しも古びていません。むしろ今だからこそぜひ読んで欲しい作家としての野呂邦暢を知る格好の書です。絶版が何とも惜しい。2016/01/19