内容説明
朝鮮はなぜ、東アジア政治の焦点となるのか。中華と近代の結節点に位置し、摩擦のなかから生み出された外交の論理を解明。外政機構の形成から大韓帝国までを一貫した視座でとらえ、東アジア国際関係史のなかで決定的な位置を占めた姿を浮かび上がらせる。
目次
朝鮮外交形成の論理
第1部 宗属関係の変容―二元的中華の時代(宗属関係の中の条約関係―領選使から駐津大員へ(一八八三~八六年)
宗属関係と条約関係の交錯―駐津大員から駐津督理へ(一八八六~九四年)
対外実務の条約関係への対応―統理交渉通商事務衙門の形成
宗属関係の可視化と朝鮮政府―神貞王后逝去をめぐって)
第2部 大韓帝国の成立―一元的中華の時代(朝鮮からみた日清開戦過程;対外実務の条約関係への特化―宗属関係の終焉;大韓帝国の成立と中華―一元化の帰結;朝鮮政治・外交の変容と朴定陽)
中華のゆくえと朝鮮近代
著者等紹介
森万佑子[モリマユコ]
1983年愛知県に生まれる。2008年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2012年ソウル大学校大学院人文大学博士課程修了。2015年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
17
朝鮮が近代国際法に基づいた条約体制に移行していく中で、清朝との宗属関係や中華思想の存在形態を、朝鮮の対外関係の展開に絡めて浮上させ、新たな見方を提示している。特に宗属関係存続期にあたる「ニ元的中華」と、宗属関係が廃棄され自らが志向する中華に一元化される「一元的中華」という操作概念を用いて、1882-97年までの朝鮮近代史における政治・外交の変容を整理した点が特徴。大韓帝国成立時に高宗が明朝の皇帝に倣った即位式を行なったのを、正統な中華の継承者であるという自負の帰結と位置づけるところも興味を引いた。2020/05/30
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