出版社内容情報
本書は、ナチ党を無原則な機会主義に基づく旧中間政党とみなす支配的学説を
却け、ナチ党の成立から政権獲得までのナチ・イデオロギーの本質と広汎な支
持基盤を未公刊・公刊史料を駆使して明らかにする。運動体としてのナチ党そ
のものの実体に迫りナチ研究に新生面を拓く力作。
内容説明
「ナチズム」という記号論を超えて新生面を拓く実証的研究。
目次
第1章 ナチ・イデオロギーの研究―学説史の紹介と検討(ハイデン=ラウシュニング・テーゼの登場と継承;ハイデン=ラウシュニング・テーゼの克服)
第2章 ナチ党の成立(ドレクスラーとドイツ労働者党の結成;ドイツ労働者党のイデオロギー;ヒトラーの入党;ドイツ労働者党の自立化;ナチ党の労働者志向性)
第3章 国民的社会主義と労働者獲得政策(グレーゴア=シュトラッサーの国民的社会主義;ゲッペルス像の修正;ナチ経営細胞機構の成立;ムーホウとナチ経営細胞ヨの活動)
第4章 ナチ党の農業イデオロギーと政策(ヒトラーのドイツ民族扶養構想;農業ロマン主義と反都市感情;ダレーの「血と土」イデオロギー;ダレーと農民獲得の活動)
第5章 ナチ・コーポラティズム論の展開(ヴァーゲナーの識能身分制経済構想;ナチ党の小商店主政策;ナチ党の手工業者政策)
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かめちゃん
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ナチ党のイデオロギーあるいは理念史に関する研究書。ナチ党の思想を取るに足りない雑な機会主義と切り捨て、「ナチズム」という記号ですませがちな先行研究を批判している。特に国民社会主義と訳される思想の内実を、党指導層のテクストから丁寧に読み解く。特徴的なのは反近代工業・反都市社会的な態度。運動においては労働者層への進出が注目される。個人的には、シュトラッサーのヒトラー批判が、意外なほどその後の研究史に影響を与えていたようであるのは驚きだった。2017/03/03
代理
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ナチ党の指導部の農業ロマン主義。農業未体験の人ほど農業にロマン持ちすぎ。未体験だからこそ?2009/08/25