出版社内容情報
観念(idea)は17世紀において精神がいかにして外的世界と接触するかという問題の中で論じられた。デカルトを経てスピノザに継承される観念説(theory of ideas)は,哲学史の中でも空白地帯とされ難解で知られる。本書は観念の多様な側面に注目しながら,スピノザ独自の構想として,従来の認識論的な枠組みを超えた「観念の実在論」を提唱する。
内容説明
近世哲学の観念説という特殊なトポス。観念の多様な側面に注目しながら、スピノザ独自の構想として、従来の認識論的な枠組みを超えた「観念の実在論」を提唱する。
目次
序論
第一部 「観念(idea)」概念史の中のスピノザ―ポスト・デカルトの観念説(デカルトにおける観念の対象的事象性;デカルトにおける観念の形相的事象性;デカルト以後の展開―近世的「観念」概念の成立におけるスピノザの特異性)
第二部 観念の存在―観念の二面性の継承から平行論の成立へ(スピノザにおける観念の二面性;平行論と観念説;事物としての観念―観念の〈能動性〉と〈事物性〉)
第三部 観念と人間―神における平行論から人間の認識へ(「存在しない個物の観念」とは何か―『エチカ』第二部定理八再考;『エチカ』における虚偽の観念と方法論の問題)
結論
著者等紹介
榮福真穂[エイフクマホ]
1995年宮崎県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、フローニンゲン大学哲学部哲学史学科客員研究員、日本学術振興会海外特別研究員。主な論文、「『省察』における質料形相論」(『フランス哲学・思想研究』27号、2022年、日仏哲学会若手研究者奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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