内容説明
19世紀‐20世紀初頭のロシア帝国統治下のムスリム社会を、そこで交錯する複数の「法」に焦点を当てて考察する。また、法的多元状況を比較するため、ロシア法制史・中国近代史・人類学の論考も合わせて収録し、巻末には法学研究者の論評も取り入れるなど、多角的な分析を試みる。
目次
ロシア・ムスリム・Legal Pluralism―歴史学と法学の対話
第1部 ロシア帝国のムスリム諸地域(中央ユーラシアのムスリムとロシア帝国法―宗務行政と植民地行政;ロシア帝国的「イスラーム法」の構造―ヴォルガ・ウラル地域のムスリムの婚姻・離婚;「仲裁」するシャリーア法廷―南東コーカサスにおける裁判の制度と実態;二種の判決文―中央アジア・シャリーア法廷の文書作成業務;改革と水利―トルキスタンの水利権法(一九一七年)への道程)
第2部 法の多元性をめぐって(「法多元主義」余聞―帝国ロシアの法秩序における一元性と「多元性」;南京の英国人―中華民国期の都市不動産と法の多元性;妻の権利をめぐる人間模様―現代ウズベキスタンの「法」制度と運用)
Discussion1 実定法学の視点、歴史学の視点―歴史学・人類学と法学との対話は可能か
Discussion2 「古き法」と「新しき法」の交錯―財産権・婚姻・裁判にみる相克と調和
Epilogue シャリーア法廷文書収集・研究プロジェクトの二〇年
著者等紹介
磯貝真澄[イソガイマスミ]
1976年生まれ。博士(学術)。東北大学東北アジア研究センター助教を経て、千葉大学大学院人文科学研究院准教授
磯貝健一[イソガイケンイチ]
1966年生まれ。博士(文学)。京都大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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