内容説明
▼「軍事の論理」vs.「政治の論理」
▼昭和戦前期における在郷軍人と陸軍中央のせめぎあいとは何だったのか。
また総力戦の危機の時代に「統帥権の独立」は容認されるものであったのか。
▼軍と知識人の、武力によらず目的を達成しようとする総力戦論を探る、注目の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
16
図書館の予約が途切れることなく入り続けた静かな人気本。在郷軍人の政治進出とその抑制、「統帥権の独立」に限界を見出す議論、総力戦論の三つの観点から、総力戦時代の政軍関係をいかに規定するかを模索していた昭和戦前期からの重層的な様相を描く試み。東條英機の首相と参謀総長兼務について、軍は「統帥権の独立」に固執して「軍部独裁」を目指したわけではなく、政戦両略の一致の必要性から分立主義を克服するための試みであったとし、それも「統帥権の独立」によって阻止されたとしている。そういう見方もあるのかと思った。2021/08/27