内容説明
二〇年代のパリの文学・芸術を多様に織り成した人物たちの多くは外国人であった。これは、国際的「中心」としての「一九二〇年代パリ」が、「周縁」である外国から多数の作家や芸術家たちを引き寄せる魅力にあふれた都市であったと同時に、外国という「周縁」からの多数の渡来者の存在と活動がなければ、「一九二〇年代パリ」という「中心」があれほどの百花繚乱を表現することはできなかったであろう事実をも物語っている。本書は、いくつかの事象を具体的に取り上げながら、豊饒な「一九二〇年代パリの文学」を、「中心」と「周縁」という二つのキーワードで読み解いている。それによって、「一九二〇年代パリ」の文学的位相を重層的に解明した。
目次
1 ヴァレリー・ラルボー―「中心」と「周縁」の仲介者(ラルボー―典型的コスモポリタン;『A・O・バルナブース全集』 ほか)
2 ジェイムズ・ジョイス―「周縁」からのエグザイル(パリに来るまでのジョイス;一九二〇年代パリのジョイス ほか)
3 アーネスト・ヘミングウェイとミゲル・アンヘル・アストゥリアス―「周縁」に依拠するアメリカ作家(ヘミングウェイと一九二〇年代パリ;アストゥリアスと一九二〇年代パリ ほか)
4 ダダ―「中心」と「周縁」を廃棄するアヴァン・ギャルド(ダダの国際性;チューリッヒ・ダダ―パリ・ダダの前史 ほか)
著者等紹介
西村靖敬[ニシムラヤスノリ]
1952年神戸市生まれ。東京大学教養学部卒業。現在、千葉大学文学部教授、比較文学比較文化専攻
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