- ホーム
- > 和書
- > 児童
- > 読み物
- > 短編集・アンソロジー
内容説明
“文豪ノ怪談ジュニア・セレクション”は、十代の読者を対象に、古今の文豪たちが手がけた「怪談」―怖い話や不思議な話を通じて、日本語と日本文学の奥深い魅力に親しんでもらうことを目的に編纂された、文学ビギナー向けのアンソロジー・シリーズです。作品収録にあたっては、総ての漢字にルビ(よみがな)を付し、難解な言葉や言いまわしには詳しい註釈と鑑賞の手引きを施すことで、文豪たちが書き記した文章を、年少の読者でも、そのままの形で味読できるように工夫しました。第一線で活躍中の画家たちが描きおろした装画と挿絵の数々も、内容の理解を助けるとともに、本という名の昏い玩具の魅力を次世代に伝える縁となることでしょう。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年、神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。怪奇幻想文学研究誌「幻想文学」、怪談専門誌「幽」の編集長を歴任。『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞
玉川麻衣[タマガワマイ]
1977年、東京都生まれ。独学でペン画を製作。「上野の森美術館大賞展」「新生展」ほか入選多数。以後、個展・グループ展などで精力的に活動を行うほか、書籍装画を手がける。民話や妖怪、動物をモチーフに、細密なタッチで描く妖美の世界が注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モモ
54
西條八十『トミノの地獄』この詩を声に出して朗読すると呪いにかかって死ぬ、という話が恐ろしい。平山蘆江『大島怪談』同宿で自分より先に自殺した女性の幽霊話。町田市が舞台の日影丈吉『墓碣市民』墓場に住む死んだ男が怖い。林芙美子『上田秋成』妻や長年の論敵だった本居宣長が死に、自らの死も近いと感じた上田秋成。散歩しながら、うつらうつらと居眠りし、時折起こる怪事が怖い。絵も秀逸。宮沢賢治『二十六夜』人間の子どもに足を折られた梟。復讐しようとする梟たちに、恨んではならぬと諭す話が忘れられない。盛りだくさんの一冊。2021/07/10
tomi
36
この巻のテーマは「死」。途中体調を崩しての読書だったので、大きく「死」とある装幀にこのテーマは不吉極まりない(笑)健康な時に読むべきだったかもしれない。西條八十の特異な詩篇「トミノの地獄」から始まり、内田百閒の「冥途」、小川未明の「金の輪」といった名作から、火野葦平の河童小説「魚眼記」といった異色作まで13篇。死者との交流や、あの世といった様々な作品が並ぶが、死への恐れを描いた作よりも寧ろ死に魅入られたような作品が多い印象。2019/08/24
SIGERU
28
死の匂いが全篇に立ち罩める、名アンソロジー。文学の手練れによる怪奇譚を、同じく手練れの編纂者、東雅夫が撰んでいる。本当に、何れ劣らぬ名品ぞろいで、お気に入りを上げるのも迷うほどだ。 既読では、やはり西條八十『トミノの地獄』、内田百閒『冥途』、小川未明『金の輪』、川端康成『不死』に指を屈する。いずれも、簡潔なスタイルで全てを語りつくした達人芸。 未読では、原民喜『秋旻』と宮沢賢治『二十六夜』が白眉。原民喜は原爆詩人として知られるが、戦前にも既に、これほど鬼気せまる小品を書いていたのか。2021/09/04
くさてる
19
ただの文豪の怪談アンソロジーなら、分からないでもないセレクションですが、これが「ジュニア・セレクション」?と思うような難解さと古さに、読み終えるのに苦労しました。「トミノの地獄」「冥途」「金の輪」などの名作中の名作はさすが読みやすくも恐ろしいです……。2019/06/27
Tomoko.H
15
相変わらず媚びないセレクト。いきなりの西條八十『トミノの地獄』難解、どういう意味だか。内田百閒『冥土』三島由紀夫『朝顔』死んだ身内に会った切なさ?芥川『凶』『歯車』にも似た神経症的な。火野葦平『魚眼記』これはほんとの怪談、話し手が…!日影丈吉『墓けつ市民』死んじゃっても、うっかりその辺に居るなんて。林芙美子『上田秋成』誰だっけなと思ったら、『雨月物語』か。昔読んだわ。老年の寂寥を描いて上手い。「死」というテーマは、恐怖よりも不吉と不安を感じさせる、まさにそういう作品集だった。2021/11/08