内容説明
今日ほど植物工学の発展が期待されている時代はない。人口増加が急激に進み、それを支える食糧の確保が不可欠になっているからである。これまで、人類が営々と築いてきた伝統的な植物栽培技術、すなわち従来の「農業」では支えきれなくなっている。どのような手段でそれが可能かというと、最近の進歩の著しい細胞工学、遺伝子工学により、細胞レベルで遺伝的な修飾を行い、それを植物個体に導入し、さらに従来の農業手法と組合わせることである。植物の場合、伝統的な手法と先端的な手法との結合が細胞工学を通じて可能になっているからである。これらの基礎となる新手法の現状とそこからどのような展開が可能であるかという将来の展望について述べるのが本書の趣旨である。
目次
1章 ニューバイオテクノロジーとオールドバイオテクノロジー
2章 植物工学の基礎と特徴
3章 耐病性および耐虫性植物の原理と応用
4章 ストレス耐性植物の原理と応用
5章 モデル植物としてのシロイヌナズナ
6章 イネゲノムプロジェクト
7章 植物工学の未来像:期待と課題
著者等紹介
長田敏行[ナガタトシユキ]
1945年長野県に生まれる。1968年東京大学理学部卒。現、東京大学大学院理学系研究科教授。専攻は植物生理学、植物分子生物学。理学博士
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