内容説明
ドミノ・マスクと黒タイツ―ベル・エポック期のパリを舞台にしたベストセラー探偵小説は、黎明期の映画にビジュアル化され、ルネ・マグリットをはじめシュルレアリストを惹きつけた!変装の名手、絶対的な悪のヒーロー=ファントマ。アルセーヌ・ルパン、オペラ座の怪人と同時代ながらフランスでは圧倒的に悪のアイコンとして君臨している。文学・映画・絵画の交差する古今東西あらゆるファントマを200点余の図版を添えてたどる怪人のすべて!
目次
第1部 ファントマ・イメージの誕生―小説と連続映画(パリの怪人;小説『ファントマ』の成立とその背景;スタラーチェの表紙画とファントマ・イメージの誕生;フイヤードと連続映画;黒装束の行方―『吸血ギャング団』)
第2部 戦間期アヴァンギャルドにおけるファントマ・イメージ(ハイ・アートに迎えられる;アポリネール、ジャコブ、サンドラール;シュルレアリスムとファントマ;連続映画とシュルレアリストたち;マグリットと描かれたファントマ;ファントマの死―ムルマンとファントマ;変奏されるファントマ・イメージ―ファントマ映画の系譜)
著者等紹介
赤塚敬子[アカツカタカコ]
1980年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。専門は表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dilettante_k
3
20世紀のパリに突然現れ、悪の限りをつくした怪賊ファントマ。大衆を熱狂させた小説作品は、実は2人の原作者が突貫工事で執筆し、当時の時事ネタや3面記事などのコラージュで仕上げていた。フイヤードによる映画化を経て、その「夢のように」錯綜したイメージはアヴァンギャルド、取り分け同時代のシュルレアリスト達を魅了する。大衆から前衛を通じて世界に遍在していくファントマ・イメージの変遷を、原作・映画作品の形成過程からシュルレアリストの作品分析、その後の展開までを射程に捉えた浩瀚な研究書。手際よく整理されており読み易い。2013/10/10
よしだ まさし
1
赤塚敬子『ファントマ 悪党的想像力』風濤社を読了。 1911年2月、フランス。ピエール・スヴェストルとマルセル・アランの2人によって書かれた「ファントマ」の第1話が刊行される。それから1913年9月まで、この「ファントマ」はなんと月刊ペースで第32話まで続く。 ファントマと呼ばれる謎の怪盗の犯罪を描く、ご都合主義に溢れた「ミスプリントの多い安価な大衆小説」。だが、シルクハット、燕尾服に黒マスクというその姿、もしくは黒マスクに黒タイツというその姿は、その後、悪党を意味する記号として定着し、幾多の映画、シュー2013/10/29
takao
0
1911年に出版された悪のヒーロー。シリーズ化され、映画にもなった。 表紙がまた魅惑的。 マグリットへの影響も見られる。2018/09/25