内容説明
本書は2つの編から構成、1編は外国のじん肺に関する記録、1部は石器時代から15世紀までの記録に基づき、じん肺の発生の多くは石材加工および鉱山における労働に起因していることをうかがわせ、この時代すでに職業に関連した疾病としての位置づけられていることがわかる。2部は16世紀以降の主としてヨーロッパの国々におけるじん肺の記録、当時の医学的研究や調査の記録について述べられ、諸外国においてじん肺がどのように扱われてきたかを知ることができる。2編には日本のじん肺に関する歴史、1部は江戸時代から明治以前までの記録を克明に記載、2部は明治から近年に至るまでのじん肺の社会的問題や医学的研究の紹介と同時に行政のかかわり合いが取り上げられている。
目次
1編 外国のじん肺(古代からラマッツィーニまで(石器時代のじん肺発生の可能性;古代エジプトのじん肺 ほか)
ヨーロッパなど外国のじん肺(16~18世紀のじん肺;19世紀のじん肺と主要事項 ほか))
2編 日本のじん肺(江戸時代のじん肺(奥羽地方の鉱山;佐渡金山 ほか)
明治時代以降のじん肺(明治期のじん肺;大正期のじん肺 ほか))
著者等紹介
吉野貞尚[ヨシノサダヒサ]
1923年長野県に生まれる。1948年名古屋大学医学部卒業。1960年名古屋大学医学部内科、長野県、兵庫県の公立病院勤務を経て、新設された労働福祉事業団旭労災病院に勤務、じん肺診療と病理解剖に従事。1979年地方じん肺審査医。1983年旭労災病院副院長。名古屋大学医学部講師(労働衛生)。1989年旭労災病院定年退職。定年後はじん肺の歴史と医学について調査。日本海外協力事業団、珪肺労災病院研修部による発展途上国医師に対するじん肺研修会の講師などを務める。1997年ICORDにて、日本のじん肺の歴史を特別展示。特別賞受賞
吉野章司[ヨシノショウジ]
1918年長野県に生まれる。1942年日本大学医学科卒業。卒業とともに軍医として従軍。復員して松本医科大学産婦人科、松本保健所勤務を経て、家業を継承し現在に至る
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