内容説明
東京の片すみ、木造一軒家に二人で暮らす小野寺進と小野寺より子の姉弟。結構な歳だけど結婚できずにいる二人は、特別仲がよいわけでも、悪いわけでもないけれど、なんだか支えあって暮らしている。ある日、そんな小野寺家の郵便受けに間違って配達された一通の手紙。二人はその手紙を届けに行くことにするのだが―。引っ込み思案な弟と、こだわりが強く生命力の強い姉の、さえないけれど、ささやかな幸せが香る日常を描いた物語。
著者等紹介
西田征史[ニシダマサフミ]
1975年生まれ。東京都出身。脚本家、演出家。映画・ドラマ・舞台など幅広く脚本を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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@com
57
酢味噌。相手を思いやる気持ち。考えすぎてまわれ右もあるけど、思いやり・・・良いですね。より子さんに小野寺家に・・・いや、みんなに幸あれ。2012/03/15
aquamarine
56
40歳の姉と33歳の弟。早くに両親を亡くした二人が20年近くたった今でも一つ屋根の下でお互い独身で過ごしています。近くにいながら干渉しすぎずそれでも十分に相手を思いやる二人の関係が、視点が交互に入れ替わることによって読み手には手に取るようにわかります。他人から見たらいい年をして、という状況かもしれない。でも二人の関係がすごく良かったのです。最後のシーンの封筒にじんわりとして、ラストの一行にほろっと涙がこぼれそうになりました。こんな優しい姉弟ならきっと明るい将来が待っていると信じたいです。→2014/12/30
オカメルナ
56
何ともほんわかとした気持ちになった。40歳と30代の独身姉弟。二人暮らし。姉弟ともに生き方が不器用で、感情の表し方も下手くそで、でも心根の真っ直ぐで温かい二人に笑わせてもらった。ものすごくインパクトがある訳ではないし、これでもかって言うような圧迫感も皆無。でも、好きな1冊となったし映画も是非見てみたい。片桐はいりさんは、はまり役となること間違いないな。こんなに原作のイメージと合致する女優さんはいないな。2014/07/26
いたろう
56
「姉に殺意を抱いたことが、これまでに三度ある。」という出だしから、どんな殺伐とした姉弟かと思いきや、これが実にいい味を持った二人。40歳の姉、30代半ばの弟、二人暮らし、共に独身、恋人なし。二人のとぼけた味わいがそこはかとなく可笑しく、そして、笑いの中に垣間見られる姉弟愛に心が暖かくなる。2014/05/29
マボちゃん
52
あ~ 好きだなあ。まだまだずっと読んでいたい...と思った。さりげなくお互いを思いやる、姉と弟。とくになにか事件が起こるわけではない、普通の毎日だけど、それがいいんだよね。映画のキャスティング、ぴったり!だと思います。是非そちらもみてみたい。2014/12/22