内容説明
怪談蒐集を続ける作家が聞き集めた実話怪談集。孤独死した老婆宅で発見されたノートに書かれていたのは「孤独死」。なぜか観葉植物が枯れる学生寮は精神も蝕んでいった「N荘」。九州最恐の心霊スポットを訪れた若者を見舞う恐怖「I峠」。著者の怪談蒐集の原風景を描く「怪談と祖母」。原本の36編と書き下ろし2編を収録。
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
小説家。福岡県北九州市出身。2000年『幻日』でデビュー、2008年『すじぼり』で第10回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
63
再読。実話怪談集。以前新潮文庫版を読んでいるはずなのだが、読んだのが随分以前のせいか内容をほとんど覚えておらず。著者の力量は確かなのであるが、実話怪談の実話という部分に重点を置いているせいか、語りそのものを丁寧に描いている。そのため臨場感は他の実話怪談と比較にならぬのであるが、ストーリー自体が凡庸な作品が含まれているのが残念。著者の地物の明らかにあそこが舞台とわかる「I峠」とか、「運転手」「洟」のように生活の嫌さを書いたのに優れたものが多いように思えるけど。忘れていた為、一粒で二度美味しい話も多かったが。2019/04/16
ネムコ
29
以前は楽しく読めた福澤怪談、久しぶりに読んだら読みにくさを感じてしまった。怪談の書き方も時代によって変わった。昔多かったのは、第三者の立場で新聞の記事のように書くやり方と、体験者のしゃべりをそのまま文に書き起こした体のもの。超怖い話は始めこそ、自分や身近な人から聞き知った話をまとめていたが、発行頻度が上がるにつれてそれでは追い付かなくなり、現在、怪談実話は東奔西走して聞き取った話を、著者が独自のスタイルで書き表すのが主流になっている。福澤さんの怪談は昔のライターと現在の怪談師の中間の感じがした。2020/03/03
carl
22
実話怪談って確かに実話って感じです。怖ェー。 回答なしの話が怖いです。2019/10/24
火狐@二児の子育て奮闘中
10
実話は『理由』や『解決方法』等が書かれてないので盛り上がりにかけるのですが、実話ならではの地味でじわじわくる怖さがやってきます。続けて読むと自分にも怪異がおこりそうで不安になる(笑)2019/09/27
山田
9
最後の章の祖父母の出生がとても気になった。明治初めに結婚したとかいうのであれば、幕末生まれ? 明治は遠くなりけり、と聞くが、明治どころの話じゃない。そんな祖父母より聞く「怖い話」はきっと楽しかったと思う。人生の荒波を超えてきたお年寄りだからこそ、たとえ怪談であっても面白可笑しい話だったろう。 怪談を読んでたはずなのに、ほんわかしてしまった。2020/07/28