内容説明
日常の中でふと綻び、口を開ける暗黒―それら縒りあわせて綴る九十九話の怪異。友人の祖母の呟き、その驚愕の内容「猿の貯金箱」、道路の上に延々と続く人の足跡、その行き先で出会ったのは「黄色い」、日を置かず歯の治療にやってくる患者の不気味な症状「はいたでんか」、同僚が酒をやめられない本当の理由とは「まねき猫」、など。残された最後の怪異は―あなたの傍に潜んでいる。
目次
セブン
しろばこ
カブトムシ
踏切その一
踏切その二
追憶の風景その一
追憶の風景その二
夜鳴きそば
ウメモト
ホームステイその一〔ほか〕
著者等紹介
真白圭[マシロケイ]
1971年新潟県生まれ。東京理科大学大学院修了。現在、会社員。第四回『幽』実話怪談コンテスト佳作入選後、本格的に怪談収集を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
167
著者の百物語の初挑戦作とあってあまりに性急に過ぎて風情に欠ける作品も見受けられましたが、今回ふと思い至って強く感じたのは出版社の要請で少ない頁数で100話に納めないといけない過酷な制約による作家さんのご苦労でしたね。遊びの部分を削って余計な物を削ぎ落した究極の超ショートショートにまとめる手腕は讃えられるべきだと思いますね。冬の季節にぴったりの誠にけったいな怪奇譚。『夜鳴きそば』友人の上谷の住むマンションの近所に、偶に一台の屋台ラーメンが来た。六十過ぎと思われる男性店主一人で営業する屋台の彼は常連客だった。2021/01/10
HANA
59
実話怪談集。百話収録しているというので、一つ一つの話は短め。一頁か二頁の話が畳み掛けるように襲い掛かってくる。正直こういう形式は嫌いではないので、楽しみながら読めた。ただ怪談らしい嫌感のある話は少な目で、全体的に淡々と話が進んでいく印象。上善如水とはいうものの、濃い味付けの物も食べたいもの。あと最近の怪談には珍しく大上段から霊感を持つ人を扱った話や、未確認飛行物体といった話も含まれている。特にUFOの場合、ストレートなだけに懐かしい感じもするな。様々な怪異が詰まっていて、バラエティ豊かな一冊ではあった。2017/07/01
澤水月
25
今巻は淡々たる中、寸鉄グサリ交じり良い。3Dシアターは霊も年を重ね楽しみ見出したのかと少し慰められ非事故物件は生々しい。大岡昇平の名作思わせる逸話も印象深く、自分が今歯の治療中で歯に関する怪奇、色覚に関する話も大変興味深い。しかし…戦死した祖父には見られたくない…2017/05/31
さりぃ
14
#暗黒百物語 骸 #真白圭 KindleUmlimitedで読了。 そこそこのじんわり度がなかなか好き。 『カブトムシ』『夜鳴きそば』『サーフィン』『テント』『おでん』『色鉛筆』『生米』 辺りが好みだった。2019/12/30
qoop
10
〈追憶の風景〉〈夜鳴きそば〉〈アメリカン ヒーロー〉〈花輪〉〈向かいのマンション〉〈はいたでんか〉など、印象的な話が多くてしかもバラエティ豊か。スプラッタな描写や後味の悪い話も散見されるが、なぜかあとを引く厭な感じが薄く、怖さのみ残るのが不思議。諧謔的なペンネームどおりの個性…ということだろうか。狙ってつけたのなら見事。余計に安易なタイトルが気になる。ついでにいうと、あとがきの数字表記は統一すべき。2017/06/01