出版社内容情報
FKBレーベル、ふたり怪談の最新刊。
内容説明
怪談の書き手としても第一線を突っ走る黒木あるじと黒史郎がタッグを組む。黒史郎は、歩道橋の隅で座っている女の子…どこかで会った記憶「女児橋」、入居したマンションの天井の染みの弊害か…「浸食」、宝石商が語る曰くの石の話「金庫」など、都市を舞台とした怪談を。黒木あるじは、鬼伝説が謳われるキャンプ地で起きた出来事「鬼靴」、消えた六歳の女の子の行方を捜すと…「神隠」、昭和の初め、オン婆から聞いた不思議な話「雪女」など、地元である東北で取材をした怪談を。二人の異なる「黒」が重なり合うとき、思わぬ深い闇が目の前に口を開ける。
目次
黒史郎(浸食;女児橋;マスカット;文子;兆髪 ほか)
黒木あるじ(神隠;鬼靴;前掛;塩彼;村怪 ほか)
著者等紹介
黒木あるじ[クロキアルジ]
第七回ビーケーワン怪談大賞佳作賞、第一回『幽』怪談実話コンテスト「ぶんまわし賞」受賞
黒史郎[クロシロウ]
『夜は一緒に散歩しよ』で第一回『幽』怪談文学賞長編部門大賞を受賞、同タイトルで小説デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
162
名前に黒の字がつくお二方、史郎さんは都会でライトな陽、あるじさんは田舎で重めの陰と作風の違いを実感しましたね。『騒音トラブル 嘲笑』黒史郎:岡村さんは会社の同僚達と飲みに行って次の店の代わりに自宅マンションに皆を招いて家飲みするが、夜中に同僚の一人の具合が悪くなり救急車で運ばれ急性アルコール中毒で亡くなる。翌朝、病院から帰ると玄関のドアに「夜は静かにして下さい」と隣人からの張り紙があり、彼は救急車が去った後に大勢の男達のゲラゲラという不快な笑い声を聞いたと言うが皆で病院へ行ったのだから有り得ないのである。2020/09/12
HANA
48
実話怪談集。今回は熟練の二人って事で危なげなく読める作品が多かったのだが、裏返せば後に残る話が少なく感じた。読みすぎて感覚が麻痺してきているのかな。でも黒史郎なら「しゃかしゃんしゃん」、黒木あるじなら民話調の作品で揃えると見せかけて、最後に楽屋落ちみたいな取材に関する話を持ってきて、喉に刺さった小骨みたいな、妙に後を引く嫌さを持った作品があるのが嬉しい。いや、一冊丸々読んでこういう話が一篇も無い実話怪談って多いのよ。しかしこういう狭い分野で独特の立ち位置を持った人って強いな、と黒木あるじを読みながら思う。2015/03/09
ラルル
18
面白いに決まってる二人組ですね。表紙もスゴクイィ。まえがきもスゴクイィ。本編もはずれない。「太りたい」は話者の話より史郎さんの返しの方が面白かったです(笑2015/04/09
澤水月
18
マジで上手い2人が組んだ極上品。イスラム国でささくれた心を別方向に赤剥けさせてくれた。黒氏、マスカット‼︎ 意味フタイトルは最後まで何あるかわからず脱水機にかかった気分。芸能人など温まる話としゃんしゃかしゃん、独眼キャバとか凄いの混ぜ気まぐれ料理具合たまらない。何故かサ店で味噌汁啜りつつ読んだ黒木パートは最早遠野物語。土着、溶け出す時間感覚と戦前の風景が素晴らしい。でも今を生きる塩彼やだわ…ラストは松村進吉氏に叩きつけたな! 2人ともに髪に纏わる怪談があり、興味深い。単行本で耐える本だなこのシリーズ2015/02/03
hannahhannah
14
ふたり怪談シリーズ第五弾。平山夢明が監修。今回は黒史郎vs.黒木あるじ。黒史郎がまえがきで「僕のお相手は実話怪談界の木村拓哉、黒木あるじ」と表していて爆笑した。話の方は都市部の怪談がメインで「しゃんしゃかしゃん」や「ペット厳禁」や「坊主」など不可解な話が良かった。黒木あるじは地方の怪談がメイン。ラストの「墓女」が不可解で良かった。著者もそうだけど、担当のN女史も怪異にやたら遭遇している。二人ともワークアウトした方が良い。アメリカの心霊番組のリポーターも「幽霊や怪異現象と戦うには鍛えられた肉体が有効だ」と。2017/03/17