目次
序章 総論(松永久秀の再評価)
第1章 久秀を取り巻く人々(松永久秀の出自と末裔;松永長頼(内藤宗勝)と丹波
久秀の義兄・武家伝奏広橋国光と朝廷
松永久秀と将軍足利義輝
松永久秀と興福寺官符衆徒沙汰衆中坊氏)
第2章 久秀の城と町(大和多聞山城研究の成果と課題;松永久秀と楽市;松永久秀と信貴山城;久秀の時代の堺)
第3章 久秀と戦国の文化(松永久秀と茶の湯;「法華宗の宗徒」松永久秀―永禄の規約を中心に)
第4章 各地の下剋上(関東足利氏と小田原北条氏;陶晴賢の乱と大内氏;斎藤道三・一色義龍父子と美濃支配;安見宗房と管領家畠山氏;宇喜多直家)
著者等紹介
天野忠幸[アマノタダユキ]
1976年、兵庫県生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。現在、天理大学文学部歴史文化学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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明智紫苑
8
自作小説の資料として購入したのをザッと読む。まだまだ資料が足りない。そして、私自身の読み込みもまだまだ足りない。「実は忠臣だったかもしれない久秀」論集だが、もしかすると本人よりも息子の久通の方が恐るべき人物だったのかもしれないね。2018/06/29
相馬
2
悪人、梟雄ではなく、長慶に忠実な真面目な官吏。というイメージは定着してきた松永久秀についての、天野さん編による論集。義兄広橋国光、中坊氏、松永長頼、多聞山城、信貴山城などのこととか多方面に渡っているが、一番の収穫は、久秀の出自。以前は西岡説が強かったが、今は、摂津高槻の五百住の小領主出身説が有力だとか。2017/08/07
NyanNyanShinji
1
将軍暗殺、奈良大仏焼失、主家乗っ取りの三悪を行ったとして近世から梟雄として述べられてきた松永久秀。最近の史料研究によりこれらは否定されて、主人三好長慶思いの出来るナンバーツーである事が周知されつつあるようです。昨年の大河ドラマ『麒麟がくる』の優れた脚本や吉田鋼太郎の名演も記憶に新しいところ。本書は更に彼の周辺の人物(特に丹波の守護代家に入り込んだ弟)や彼の本拠とした多聞山城、信貴山城など、彼の周辺の事物を複数の著者陣がしゃぶり尽くす。内容も重量もヘビー級でガツンとした読み応え。2021/09/08
S.ISO
1
本書を読むと松永久秀の実像は梟雄ではなく、役目に対しては律儀、家族に対しては良き息子・良き夫、主君(長慶)に対しても良き忠臣と通説とは真逆の人物のように思えた。2019/08/03
m__akiyoshi
1
どこの土地でも統治というのは難しいのだろうけど、特に大和国は特殊な土地だったんだろうと想像される。住民にとって興福寺が精神的な拠り所となっているのか、統治しようとしている側が興福寺に気を遣っている。足利義昭も信長も大和では久秀→筒井順慶を重用するようになるのは、その辺のバランス感覚が優れていたからだったんだろうか? 後半に出てくる宇喜多直家の項目では、彼の処世術が垣間見えた。浦上宗景に反抗するジャブを打つ事で、外部から宗景の対抗馬と目される存在になっていった。現代の総裁選等に置き換えると、なるほどと思う。2018/07/28