内容説明
食への喜び、こだわり、思い出、トラウマ…味わい深い珠玉の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
57
食の申し子、食の大魔王、食の奴隷、食の傀儡‥等。文豪たちが書く「食」。食の好みに関してはどこまでも自由で、どこまでも自己中心的な感性でいいと思う。それが彼らの個性を作っている。小説、随筆、評論まで、食を題材にした短編集。誰もがこだわり強く、見方によっては囚われている。好き嫌いさえ「食」の虜にされた証ではないか。一押しは北大路魯山人。魯山人の敵を作るような挑発的な食通発露。「お茶漬けの味」を以前読んだ際、怖いほど食に思い入ている…と圧倒されたが今回収録の「味覚馬鹿」も料理に大恋愛している事が証明されている。2023/11/15
みやび
27
小説や随筆、論評など、文豪が食についてのこだわりを、様々な視点から表現する短編集。青空文庫で読んだ作品もいくつかあったけれど、それも含めて非常に興味深くて面白い。正岡子規は果物食べ過ぎだし、佐藤春夫は高級羊羹をミキサーにかけてお汁粉にして食べるのが良いという。芥川龍之介に至っては、親しい友達である文豪仲間を食物として見ては「里見弴くんなどは皮造りの刺身にしたらば、きっとうまいのに違いない」なんてことを楽しげに書いている。そんな強烈な個性というか感性を持ち合わせてこそ文豪足り得るのだなぁと思った次第…2023/11/27
こけこ
4
作家それぞれの、食へのこだわりを垣間見えた気がして楽しかった。食べるって、何気ない行為であまりこだわっていなかった私。魯山人氏の短編を読んで、反省。2025/01/23
葉菜枝
3
日本を代表する作家たちによる28作の食にまつわる短編・随筆。作家の食に対するこだわりが読んでいて楽しい。食とともに描かれる明治・大正・昭和初期の時代の雰囲気も一緒に味わえる。夢野久作の童話風短編「お菓子の大舞踏会」と太宰治の短編「たずねびと」、菊池寛の短編「蠣フライ」が好みの作品だった。古川緑波のテンポのいい随筆「下司味礼讃」も読んでいて楽しかった。芥川龍之介の「食物として」。これはどう読んだら良かったのだろう。ユーモアなのか真面目なのか。ちょっと度肝を抜かれた。2025/05/31
Ooka
3
なるほど食に対して一家言ありそうな面々。犬と猫も読んでみよう。2023/10/09