内容説明
「眠らない街」「東洋一の歓楽街」と呼ばれた歌舞伎町は、時代の波に呑まれ、今や何の変哲もない歓楽街へと成り下がった―それは本当だろうか。前作『ルポ西成』でドヤ街暮らしを送った著者は、2019年に歌舞伎町のヤクザマンションへと居を移し、現代に残る歌舞伎町の魅力を探すべく街に入り浸った。そこで出会ったのは、得体の知れない、そして味わい深い人間たちである。輝くネオンの裏に底知れぬ闇を抱えたこの街で、彼らはどのように生きているのだろうか。歌舞伎町のディープな魅力と暗部に迫った潜入ルポ。
目次
1章 歌舞伎町の暗部「思い出の抜け道」
2章 食物連鎖の頂点に立つホストたち
3章 東通りに立つ黒人の正体
4章 雑草のように生きる風俗嬢たち
5章 歌舞伎町「ストーカー」浄化作戦
6章 伝説のカメラマンが見続けた歌舞伎町
著者等紹介
國友公司[クニトモコウジ]
1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライター活動を始める。キナ臭いアルバイトと東南アジアでの沈没に時間を費やし7年間かけて大学を卒業。いかがわしい人々をメインに取材をするも、次第に引き込まれ、知らないうちに自分があちら側の人間になってしまうこと多々(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ma-bo
104
國友さんの著書は、ルポ西成、ルポ路上生活に続き三冊目。2019年以降、歌舞伎町の通称ヤクザマンションに住み、取材やご自身の目で確かめた内容のルポ。前二作は潜入して当事者感(体験談)が強かったが、今回は第三者的目線感(取材)が強い気がした。書かれている人間関係や現実がやはり怖く、街全体が非日常空間の様であり、それも仕方がないかな。引き続き潜入したいとの事でこれからの歌舞伎町のルポも今後あるかもです。2023/05/20
読特
54
高田馬場を乗り過ごし到着するのは西武新宿線の終点駅。プリンスホテルの東に広がる東京屈指の歓楽街。彷徨い歩けば偽装難民のキャッチに引き入れられる。女を守るつもりでのストーカー。迷惑行為は退治される。海か山への”ドライブ”で気弱な男は命乞い。…女に惑う男がいれば、男に狂う女もいる。ホストの客の9割から10割は風俗嬢。稼がなければ貢げない。稼ぐための仕事は限られる。最後に行きつくハイジア外周。”立ちんぼ”たちが集う場所。…歌舞伎町。夜の闇は底が深い。昼間の街でも久しく行ってない。遊ぶはよい。堕ちたくはない。2023/12/07
Tαkαo Sαito
41
とても面白かった。ノンフィクションの良さは自分が経験しないニッチな現実世界を仮想体験させてくれるところ。人間臭さ、人間ドラマが特に濃い場所が歌舞伎町。特に、歌舞伎町を50年以上撮り続けている伝説のカメラマンの言葉が響いた。「俺は変化が好きなんだ。三百六十五日、同じ日が続いてごらん。それじゃ刑務所と一緒じゃないか」「きっと街は華やかになり、歌舞伎町に縁がなかった人間も街を訪れるようになるはずだ。街がにぎやかになればそこには必ず行きます暴力とエロが生まれるんだ。いくら綺麗な建物ができたって、一寸先は闇なんだ」2023/12/04
GAKU
38
トー横キッズ、ホスト狂いで風俗に堕ちた女性、路上売春の少女等々、今の歌舞伎町の闇の一部が描かれています。ここに登場する人達、病んでいますね。2024/02/17
おいしゃん
31
【2024-22】ホームレスのルポで著者の取材力に感服したが、今作もまさに。ストーカー除去を裏の稼業としているチャーリーを筆頭に、個性強すぎな人物たちの懐に入り信頼されるのは、もはや才能だろう。2024/02/07