内容説明
“死”にフォーカスすれば音楽史の流れがわかる我が秘曲、生涯の1曲に出会える。古代ギリシャ・ローマ時代から現代に至る、哀歌、ミサ曲、レクイエム、葬送行進曲などはもちろん、交響曲、協奏曲、器楽曲、オペラ、歌曲まで、西洋音楽史に通底する“死”の観念―無から発し、無に還る音楽という芸術の核心をなす作品をお勧めディスクとともに紹介!この世のものならぬ美しい調べ、魂を抉る熾烈な響き、死の恐怖と別離の哀しみを癒す歌…。
目次
まえがき 奇妙な注文
序奏 プロローグ―『超人バロム・1』の主題歌で泣く
第1楽章 詩篇―クラシックの源泉としての(悲運)
第2楽章 ギリシャ悲劇―死すべき身の(悲しみ)を“ルネサンス”する
第3楽章 レクイエムと怒りの日―最後の審判の曲を審判する
第4楽章 葬送行進曲―棺に納まって担がれているのは誰か
第5楽章 死の舞踏―誘われているのか誘わせているのか
終楽章 白鳥の歌―音楽に死を託す
あとがきに代えて 聴衆は何を聴き取ったのか
著者等紹介
樫辺勒[カシベロク]
フリーの書籍編集者・文筆家。1961年宮城県塩竃市生まれ。人文書版元の編集者を経て独立。特撮から哲学までサブカル・人文書を幅広く手がける。またTV番組『仮面ライダー響鬼』では設定を担当。2023年、小説「ホダニエレーガ」で第6回仙台短編文学賞・河北新報社賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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旅するランナー
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そもそもmusicの語源はゼウスの娘Musaがつかさどる技芸ムーシケーmousikeに由来する。悲劇の多いギリシャ神話であるから、音楽と死は繋がっているとも言える。この本は、死の音楽を書くことを依頼された著者が、ミサ曲の構成、レクイエム曲53選、白鳥の歌(遺作)リストなど、ちょっと怖いくらい詳細に纏めている。とは言え、ダウンタウン松本が超人バロム1主題歌で泣く話、ウッディ·アレン映画の中のギリシャ悲劇など、とても楽しい語りが続く。冥土の土産に持っていきたい一冊です。2024/08/10
優さん@はいカード
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タイトルの通り、「死」を切り口としたクラシック音楽談義。ただし書き出しがいきなり「超人バロム1のテーマ曲が泣ける松本人志」の話題からである通り、幅広い話題から話が進んでいく。一方、大変真面目かつ高尚に音楽と死(レクイエム、白鳥の歌など)を見つめている。 よく話の種にもなる、自分の葬式(結婚式)で流したい曲についてもあらためて考えてみたり。2024/06/14