内容説明
中動態のひらく視座。言葉と主体と認識の枠組みをゆさぶり、思索を誘発してやまない概念、「中動態」―近年、再注目されるこの異質な概念をめぐって、言語、心理、哲学、思想、文学、芸術の観点から迫り、中動態概念の軌道と圏域を見極めようとする意欲的な試み。
目次
バンヴェニストにおける中動態―その来し方と行方を辿って
ドイツ語の再帰的表現と態に関する意味論的再考―身体運動および精神活動の分節表象とその言語化を中心に
中動態は“主体・客体”構造の突破口になるのか?―ラトゥールの「出来事に超過された行為」を手掛かりに
“もう一つの”芸術、“もう一つの”哲学
中動態と非人称―「書く」は中動態か?
心理療法と中動態―治療者が参与する主体の変容/生成の過程
思い出しながら語る、語りながら思い出す―マルセル・バイアー『カルテンブルク』における中動態らしきもの
著者等紹介
小野文[オノアヤ]
1973年生まれ。パリ第十大学大学院博士課程修了。博士(言語学)。現在、慶應義塾大学准教授。専攻、言語思想史
粂田文[クメダアヤ]
1972年生まれ。上智大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、慶應義塾大学准教授。専攻、現代ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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