内容説明
少女に対する偏愛!強迫的なまでにサディスティックな性癖!!常軌を逸した過激で暴力的な描写によって、少女たちの監禁や虐待の場面をはじめ、露骨なまでに作家に取り憑いた妄想を描き出す。遺作となった“大人のためのファンタジー”。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
61
サドから『O嬢の物語』『城の中のイギリス人』等の流れに連なる、黒い神の祭祀書の一冊。基本的な骨子は主人と鞭打たれる奴隷というサディズムマゾヒズムなのだが、登場する女性がほぼ15歳以下という点を除けば意外と普通。基本されているのが鞭打ちくらいだからかなあ。これはサド等を体験した弊害で、あの狂宴と比してしまうからか。それでも少女の処刑場面や終盤少女が物語る漁の様子などは一読の価値あり。基本この手の文献は著者の趣味がダイレクトに出るので、読者もそれに付き合う覚悟が必要。その意味ではこれは割とすんなり入れたかな。2020/02/04
渡邊利道
4
遺作。白い部屋の壁の絵の水浴びする少女が隣の部屋へ移動し、エロ小説を父親に朗読する、という展開でどんどんフレームを移していくのかと思いきや、いくつかの回想が枝葉を作るものの、概ねサド的な暗黒小説風の定形物語に終始する。的確で細密な描写を含めとても端正で、ロブ=グリエ的細部というのもちょっとしたサーヴィス以上のものは感じられず、まあこの素っ気なさにロブ=グリエ的意地悪さというものがあるのかもと思わないでもないが、そこはむしろ宙吊りにして安全な共犯者になっておいた方がいいのだろう。2020/07/11
刳森伸一
3
マルキ・ド・サドを代表とする18世紀の猥褻小説のフォーマットにロブ=グリエ的な細部への異常な執心を組み合わせた小説で、ある種の爆発的な化学反応が期待されるものだが、出来上がったものを読むと、何らかの飛躍すらなく、『ソドムの百二十日』の劣化版という印象を拭えない。正直に言ってしまうと、駄作だと思う。2021/06/10
PukaPuka
2
ロブ=グリエを研究対象にしなかったら、絶対に読んでいない本。なぜか最後のところで日本や日本人への言及が複数箇所登場するのだが、いかなる意図なのか?『ソドムの百二十日』のロブ=グリエ版。心因性インポテンツだった作者が頭に溜まっていた性的な空想を死ぬ前に全部絞り出し、こんなタイトルを付けたところに、悲哀すら感じてしまう。2020/09/22
梅しそ
2
冒頭の白い部屋から年端もいかない奴隷少女との都合のいい性愛関係とか、数年前から流行ってる異世界転生ものっぽい流れだなとヨタ話的に読んでたんだが、最後の日本の挿話に割と外れてもないかと思ったりしたとかしないとか。2007年頃なら美少女アニメとか萌えアニメとか日本のHENTAIは十分世界にはびこってたよな。2020/01/05