出版社内容情報
自伝、日記や手紙の記述の中にはたして〈事実〉は残されているのか。〈自叙〉の多様な実相を「銀の時代」のロシア文化の中に追う。ロシア文化における自叙はロマン主義の時代に興隆し、続くリアリズムの時代には減退した。しかし19世紀末、いわゆる「銀の時代」の始まりとともに、再び事実性への志向が強まり、創作の手法としての自叙や、作家の伝記への関心が高まりを見せるようになる。
現在と過去の錯綜の中に生起し、虚実入り混じる多様な〈自叙〉の実相を、革命前後の時代を中心とする近代ロシア文化の中に追う。
序??自叙についての迷宮的前書き 中村唯史
宗教説話に滲出する自叙
??ポリカルプと逸脱の精神 三浦清美
アレクサンドル・ブローク批評における「同語反復」 奈倉有里
亡命ロシアの子どもたちの自叙
??学童の回想と文学 大平陽一
ヴァシーリー・トラヴニコフとは誰か?
??ホダセーヴィチにおける自叙と文学史の交点 武田昭文
伝記史料とイメージ操作
??二十世紀ロシアの作曲家の自叙 梅津紀雄
自叙は過去を回復するか
??オリガ・ベルゴーリツ『昼の星』考 中村唯史
後書きに代えて??自叙と歴史叙述のあいだ 中村唯史
中村唯史[ナカムラタダシ]
著・文・その他/編集
大平陽一[オオヒラヨウイチ]
著・文・その他/編集
三浦清美[ミウラキヨハル]
著・文・その他
奈倉有里[ナグラユリ]
著・文・その他
武田昭文[タケダアキフミ]
著・文・その他
梅津紀雄[ウメツノリオ]
著・文・その他
内容説明
自伝、自伝的小説、回想、日記、手紙…過去の出来事を現在に表象によって書き換え、再構成する“自叙”。事実と虚構とが錯綜する多様なその実相を、革命前後の時代を中心とする近代ロシア文化の中に追う。
目次
序―自叙についての迷宮的前書き
宗教説話に滲出する自叙―ポリカルプと逸脱の精神
アレクサンドル・ブローク批評における「同語反復」
亡命ロシアの子どもたちの自叙―学童の回想と文学
ヴァシーリー・トラヴニコフとは誰か?―ホダセーヴィチにおける自叙と文学史の交点
伝記史料とイメージ操作―二十世紀ロシアの作曲家の自叙
自叙は過去を回復するか―オリガ・ベルゴーリツ『昼の星』考
後書きに代えて―自叙と歴史叙述のあいだ
著者等紹介
中村唯史[ナカムラタダシ]
1965年、北海道に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学。京都大学大学院文学研究科教授。ロシア文学、ソ連文化論専攻
大平陽一[オオヒラヨウイチ]
1955年、三重県に生まれる。東京外国語大学大学院修士課程修了。天理大学国際学部教授。戦間期チェコにおける亡命ロシア文化専攻
三浦清美[ミウラキヨハル]
1965年、埼玉県に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。電気通信大学教授。中世ロシア史、中世ロシア文学専攻
奈倉有里[ナグラユリ]
1982年、東京都に生まれる。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程退学。早稲田大学講師。ロシア詩、現代ロシア文学専攻
武田昭文[タケダアキフミ]
1967年、栃木県に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科博士課程退学。富山大学人文学部准教授。ロシア詩、ロシア近現代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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