内容説明
平穏な日常が原発事故を機に失われる精神的・心理的分断、避難生活を余儀なくされたことによる故郷や家族との物理的分断、地域コミュニティの瓦解などによる社会的分断そして代々行われてきた伝統行事が断絶したことによる文化的分断―福島第一原発事故によって引き裂かれた多様かつ複合的な「分断」の諸相を描き、継続的な社会調査による「分断」修復の方途、そして「つながり」の再構築を目指した渾身の一冊。
目次
はじめに―原発分断の諸相
第1章 集合的トラウマとしての原発事故―トラウマを抱えたコミュニティを回復の共同体に
第2章 原発事故対応をめぐる認識のずれはなぜ修復されないのか―福島県中通りにおける親子パネル調査の分析から
第3章 原発事故被害の賠償と分断修復
第4章 原発避難者受け入れ地域における分断とその構造
第5章 復興をめぐる分断と修復への課題―避難指示区域における時間の断絶と維持可能性
第6章 広域避難者における「関係性」の変容
第7章 地域の行事を通した分断修復―福島市大波地区における社会的分断と修復への努力
第8章 修復的な社会調査へ―親子健康調査の参加者の声との対話
第9章 福島県中通りにおける分断修復に向けた介入研究―長期追跡調査を土台とした調査参加者と研究者がつくる「対話」の場
おわりに―多様な選択を可能にする社会を求めて
著者等紹介
成元哲[ソンウォンチョル]
中京大学現代社会学部教授、修士(社会学)(東京大学)、「福島子ども健康プロジェクト」代表
牛島佳代[ウシジマカヨ]
愛知県立大学看護学部准教授、博士(医学)(熊本大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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