内容説明
改革は常に意図された方向へ進むものではなく、停滞や破綻を繰り返し、意図せざる帰結を生む。このとき改革の成否を左右するのは様々な位相で生成される「教育の理念」の内実とその変容である。それは「一人前神話」「才能神話」「均質性神話」「ギムナジウム神話」などの言説をめぐる理論的かつ実践的な闘争でもある。本書は現代ドイツの教育改革の過程を教員、学校、学校制度という交差する三つの地平において分析し、同時に改革の成否を論じる枠組みとしての「学校制度の理論」を提起する新しい教育行政学の試みである。
目次
序章 本書の課題
第1部 教員をめぐる制度改革(学校監督論争;教員の業績評価の制度と実態;ドイツにおける学校改善支援策としての教員研修改革の動向)
第2部 学校の自律化の理論と政策(「学校の自律」の教育学的検討;ドイツにおける「学校の自律」の法的保障;校長意識調査を素材とした「学校の自律」の実態の分析)
第3部 ドイツにおける学校制度改革の理論と動態(ドイツにおける分岐型学校制度改革の破綻要因の検討;2000年代における学校制度改革論議の再構築;「二分岐型」学校制度の論理と政治過程;ギムナジウム修学年限改革の政策過程)
結論 現代ドイツの学校制度改革を解釈する理論モデル
著者等紹介
前原健二[マエハラケンジ]
1962年生まれ。1984年、東京学芸大学卒業。1986年、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。1991年、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員等を経て、1994年、東京電機大学理工学部専任講師。1996年、東京電機大学助教授(のちに准教授)。2009年、東京学芸大学准教授。2014年、東京学芸大学教授。博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。