内容説明
アメリカでは従来、教育に関わる政策決定は、小さな学区ごとに教育委員会や教員組合などの教育関係者によって行われ、他の政策領域から独立した仕組みがある―これが「例外主義」と評されるアメリカ教育の特徴だった。しかし、21世紀を迎える頃からニューヨーク、シカゴなどの大都市で市長が教育への関与を強め、大統領や州知事、議会、裁判所など、教育部門への関与に消極的だったアクターの影響力も大きく増大した。教育と政治の関係に起こった地殻変動にいち早く着目し、その要因を政治学的に解明したアメリカ教育政治研究の到達点、待望の翻訳。
目次
第1章 教育と単一目的ガバナンス(アメリカ教育の制度面にみる断層の変化;単一目的ガバナンスと一般目的ガバナンスに関する一般的見解;視点の統合;本書の概要)
第2章 新しい教育首長(教育知事の登場;教育大統領あらわる;市長統制;個人的性格及び政府レベルに特化した説明を乗り越える)
第3章 議会と裁判所の役割拡大(岩盤を緩める裁判所;自重的であるが、媒介的に;教育に取り組んだ連邦議会、州議会、そして市議会)
第4章 変容するアクター・イシュー・アイデア(国家レベルの教育政策における「卓越性」アジェンダの隆盛;州におけるベニュー・ショッピング;変わりつつある地方政府の登場人物)
第5章 教育例外主義の終焉―将来にむけた含意(経路依存、制度をめぐる政治、意図せざる結果;教育例外主義の終焉―懸念の理由;教育例外主義の終焉―明るい展望をもつ理由;複数の政策課題を担う機構に適合的な複数のイシューを扱う政治)
著者等紹介
ヘニグ,ジェフリー・R.[ヘニグ,ジェフリーR.] [Henig,Jeffrey R.]
コロンビア大学ティーチャーズカレッジ政治学・教育政治学担当教授であり、コロンビア大学政治学担当教授でもある。彼はアメリカ教育学会フェローに選出されており、また全米教育アカデミーのメンバーでもある
青木栄一[アオキエイイチ]
東北大学大学院教育学研究科・准教授(教育行政学)。2002年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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