内容説明
世紀末の「影」の芸術―象徴主義。光と実在へと羽ばたく近代芸術の主流に対し、夜と彼岸を希求するその精神のフォームを精細に論考し、現実と理想・理性と神秘の相克を生きる真理を追究。前著『象徴主義』に、19世紀フランスのオカルティスムと世紀末世界に関する新章2章を加え、多数の図版も追加した改訂増補版。
目次
第1部 象徴主義―モダニズムへの警鐘(ブルジョワの時代―19世紀後半の昼の精神;フランスにおける1886年の象徴的な意味;失楽園としての象徴主義;メランコリー;彼岸の世界への憧憬と絶望 ほか)
第2部 世紀末都市ウィーンとエロティシズム(太陽 斬られた頸;死の翳り;哲学としてのエロティシズム;クリムトとウィーン分離派;オイディプスたちの反乱 ほか)
おわりに:20世紀以降における象徴主義の意義
著者等紹介
中村隆夫[ナカムラタカオ]
1954年東京生まれ、美術評論家。上智大学文学部フランス文学科卒業。慶應義塾大学大学院美学美術専攻(修士課程)修了。滋賀県立近代美術館、毎日新聞社などを経て、多摩美術大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内田
2
面白かった。でも校正が出来てないのではなかろうか。2020/03/11
Yoko Kakutani 角谷洋子/K
2
昼の印象主義。夜の象徴主義。「失楽園の美学」たる象徴主義芸術をオカルティスムとの関連も含めて丁寧に読み解いていく。ホーフシュテッターの著作より分かりやすい。19世紀のオカルティストで象徴主義の画家による「薔薇十字展」を成功に導いたジョゼファン・ペラダンについて多くを知ることが出来た。「薔薇十字展」にはペラダンの宿敵たる自然主義の作家、ゾラまで訪れたというエピソードにアイロニーを感じたりもした。2020/02/27
三柴ゆよし
2
後半になるにしたがって「趣味」という感じが強くなる。2020/01/27
Jirgambi
1
印象派と同時期ながら、余り観る機会の少なかった象徴主義絵画に興味が有り、読んでみる。如何しても神秘主義や錬金術等の解説には、現在の私の知る科学体系とは異なる「体系」や「キリスト教知識」への理解を前提とする為、後半になるにつれ内容が難しい(その上、筆者の趣味的な要素も垣間見える)。 月並みだが「宿命の女」「破滅」「生と死の融合」という本書頻出のキーワードを押さえ、19世紀の産業化(それに伴う西欧人の心理的変化)に対するアンチテーゼとして、象徴主義が興隆する契機を得たものと理解している。2020/02/01
niko
0
ススムヨコタ『Symbol』より。本誌に散りばめらた挿絵の数々が頭を反芻する。2025/03/10