内容説明
金融制裁の効果は概して見えにくく、それがどのような作用/副作用を有しているのかは十分に知られているとは言えない。仮想通貨の登場など「資産」形態の複雑化も進む今日、金融制裁の現状や課題に関する研究の蓄積は急務だ―。本書は、金融制裁が行われた様々なケーススタディを通した多角的視野からその実態に切り込み、国際法・実務の両側面から課題を提示した、まさに時宜を得た労作である。巻末には国連の金融制裁に関する各種資料も収録。
目次
第1章 国連の経済制裁と金融上の措置―その変遷と今日的課題
第2章 政府系ファンド、中央銀行、特定通貨に対する金融制裁
第3章 国連金融制裁における安保理補助機関の機能―国際組織法の視点から
第4章 国連による「スマート・サンクション」と金融制裁―効果の追求と副次的影響の回避を模索して
第5章 国連安保理制裁の変容と履行確保に関する最近の課題―金融制裁をはじめとする諸措置の実施に当たっての実務上の課題を中心に
第6章 日本における国連金融制裁の履行
第7章 金融制裁の国家による履行と法的問題―米国の制裁関連法令を中心に、国際取引法の観点から
第8章 EUにおける国連の金融制裁の履行―自律的制裁における理事会の判断資料の範囲にみる基本権保障と制裁の実効性
第9章 銀行の制裁対応実務
第10章 国連の金融制裁と国際判例
第11章 国連イラン制裁における金融制裁について
著者等紹介
吉村祥子[ヨシムラサチコ]
1991年国際基督教大学卒業。1997年国際基督教大学大学院行政学研究科修了(学術博士)。広島修道大学法学部講師を経て、1998年広島修道大学法学部助教授/准教授。2002年オックスフォード大学・コーパス・クリスティ・カレッジ/法学部客員研究員(2013年まで)。2008年広島修道大学法学部教授(2010年まで)。2010年関西学院大学国際学部教授。専攻:国際法、国際機構論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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