内容説明
漫然とした福祉国家から費用対効果が尊重される時代に転換した世界の教育政策は、教育の成果を測定することから始まった。2000年に始まったOECDのPISA調査による学力ランキングは、各国の教育政策に強い影響を与えている。本書は、ドイツでは州毎に多様な教育政策が展開されていること、学力の低い移民の児童生徒を中心に学力向上策を実現したこと、教育機会を妨げる分岐型学校制度を改革した点を日本の教育政策との相違として分析する。一方、学校外部評価と教員養成改革で学校教育の質保証を目指す政策は、日本の教育政策との共通性を浮き上がらせている。比較教育学の神髄を鮮明に見せてくれる現代ドイツ教育論である。
目次
第1章 ドイツの教育政策を取り巻く状況(ドイツにおける教育政策の方向性;教育政策を取り巻く状況)
第2章 就学前教育と初等教育における学力保証政策(国際学力調査結果の衝撃;義務教育段階以前の支援;義務教育段階における支援;義務教育段階の「出口」における質保証)
第3章 中等教育段階への接続と選抜(ドイツにおける中等教育学校制度の変化;中等教育段階1の現状;保護者の学校選択と進学実態)
第4章 学校教育の質保証と学校外部評価(学校の自主性・自律性と学校外部評価導入の経緯;各州の学校評価制度の概要;各州の学校評価制度の事例;学校外部評価と学校改善)
第5章 教員政策と質保証(ヨーロッパ連合における教員の質保証;ドイツの教員政策;各州の教員政策;教員政策の成果と課題)
著者等紹介
坂野慎二[サカノシンジ]
玉川大学教育学部、同大学院教育学研究科教授。1961年生まれ。東北大学大学院教育学研究科修了。博士(教育学)。専門:教育経営学、比較教育学、教育課程論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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