内容説明
期待が大きいほど挫折の際の失望は深い。地方国立大学における課外活動から大学を挙げて学生を育てる「学生支援GP」を総括した本書には、総じた苦渋の色が濃い。大学教員の非協力、予算・組織の不備、そして学生の人間的な成長に関わるカリキュラム確立の困難等々、著者らは随所に現れた企画の軋みに率直に言及している。本書終章では企画成功のための条件を挙げているが、それを満たすには全学を挙げての刷新的取組が不可欠だ。その点で本書は、大学教育で乱発される「企画」や「改革」に対しての経験に基づいた貴重な警鐘あるいは教訓と言えよう。
目次
第1部 企画者から見た学生支援(学生支援GPが学生の人間的成長にいかに寄与できるのか;学生支援GPの実践を通して得られた成果;学生支援GPの実践を通して見えてきた問題点)
第2部 管理運営・現場監督者から見た学生支援(私が学生支援GP管理運営者になるまで;学生支援GP管理運営者の混乱;学生支援GP実践の成果;学生支援GPを経て残された課題)
第3部 参加者から見た学生支援(全力疾走の期間;学生支援GPの現実;チーム解体;振り返って思うこと)
終章 学生支援に必要な条件
著者等紹介
大島勇人[オオシマハヤト]
1961年、東京都生まれ。新潟大学歯学部卒業(歯科医師)、同大学院歯学研究科修了(歯学博士)。2002年同大学院医歯学総合研究科硬組織形態学分野教授。現在、新潟大学医歯学系教授。2007年10月~2009年4月まで新潟大学全学教育機構学生支援部門長を併任する。専門は口腔解剖学、口腔組織発生学。主要な研究テーマは歯髄生物学、歯の発生生物学
浜島幸司[ハマジマコウジ]
1973年、長野県生まれ。法政大学社会学部卒業、上智大学大学院文学研究科社会学専攻博士前期課程修了(社会学修士)。同大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学。2007年新潟大学全学教育(現:教育・学生支援)機構学生支援部門特任准教授(2013年3月まで)。現在、立教大学大学教育開発・支援センター学術調査員。専門は社会学、教育社会学。主要な研究テーマは大学生文化、青少年文化、学生支援論
清野雄多[セイノユウタ]
1986年、山形県生まれ。現在、新潟大学歯学部6年生。学生支援GPに参加した初年度の学生(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。