内容説明
クライアントは情報局、大政翼賛会。仕事は戦意高揚を図るポスター制作。山名文夫、新井静一郎ら「報道技術研究会」の精鋭たちは、戦争という極限状況の中で、自らのもつ最高の技術を駆使して応えようとした。それは糾弾されるべきか、それとも表現者の業なのか。クリエイターである著者が、自らの問題として世に問うた衝撃の話題作。
目次
1 三つの文章と三点の図版
2 プラトン社と岩田専太郎
3 「NIPPON」と名取洋之助
4 資生堂と福原信三
5 森永製菓と新井静一郎
6 報道技術研究会と山名文夫
7 情報局と林謙一、小山栄三
8 大政翼賛会と花森安治
9 それぞれの戦後
著者等紹介
馬場マコト[ババマコト]
1947年石川県金沢市生まれ。早稲田大学卒業後、日本リクルートセンター入社。マッキャンエリクソン博報堂、東急エージェンシー制作局長を経て、1999年より広告企画会社を主宰。新聞協会賞、ACC賞、電通テレビ部門賞、ロンドン国際広告賞などを受賞。『ビッグ・アップル・ラン』で第6回潮ノンフィクション賞優秀作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ブック
6
広告人を含む表現者は、例えそれが大局的に見て戦争に繋がることであっても、暮らしのためにはその才能を国家への協力に使ってしまうと筆者は言う。社会の犠牲を考えてしまう人間は広告人としては続かないとも。そしてそれを根拠に「戦争は絶対にやってはならない」と。しかし、では戦争が起こりそうなとき、或いは起こそうとして世論形成のために広告やメディアを使おうとする力学が働く中で、戦争を起こさないようにするためには、誰が何をすべきなのか。私も広告人の一人として、筆者の意見ではいけないと感じた。人のせいにしてはいけないと。2023/07/06
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