内容説明
大日本帝国陸軍将校、海江田清一は、九頭竜川上流の故郷で父の遺品を発見する。そこには船乗りだった父の、インスマスの町で体験した怪異が綴られた遺書と、ハワードという友人からの手紙が隠されていた。そして、1936年2月26日、陸軍の青年将校らは1483名の兵を率い、「昭和維新断行・尊皇討奸」を掲げて決起する。しかしその真の目的は、邪神の魔の手から日本を救うことであった。
著者等紹介
田中文雄[タナカフミオ]
1941年生まれ。早稲田大学「ワセダミステリクラブ」に所属し、在学中の1963年、『宝石』(1963年10号臨時増刊昭和38年度新人中篇力作10人集)に短編「白い翼の郷」が掲載された。その後映画会社に入社し、怪奇SF映画を製作する。1974年、『夏の旅人』で作家デビューし、ファンタジー、ホラー、架空戦記など多数の作品を執筆。2009年、脳出血のため67歳で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
8
226事件を舞台にした怪奇小説といったところ。事件で襲撃された重臣たちは邪神にとり憑かれていたという設定にはなじめなかった。いや、設定は話の広げようでは良かったのかもしれないが、ストーリーと題材の重さがバランスしなかった。2016/10/27
陽介@中四国読メの会参加中
5
2・26事件の影に邪神群の暗躍が…!というので、てっきりクーデター側が邪神サイドと思って読み出しましたが実は逆で、侵略阻止するのが決起した将校たち(の一部)でした。後半になるにつれて読んでて違和感。つまらない訳じゃないんですが、クーデターの現実としての描写とクトゥルーものとしての描写が上手いこと噛み合って無かった気がします。2013/09/14
カマー
2
オカルト×2.26というと荒俣宏の「帝都物語 魔王編」を思い出す 帝都物語で悪人だった魔王北一輝先生がこっちだと見方で頼もしい あと史実に沿った結果なので仕方ないと言えば仕方ないが最後の方がもやもやする 2014/03/19
NEED LESS
1
史実で昭和に起こったクーデター未遂事件である2・26事件の陰に邪神達が関わっているという割とトンデモなプロット。それでも当時の日本のお上への閉塞感や国を憂う軍人達などはしっかり描かれています。欲を言えばもう少し邪神に取り付かれた日本の政治家達の描写を丁寧にしてほしかったところ。2014/08/29
Yuki
1
「帝都物語」を思い起こさせる史実×伝奇。史実に基づきつつも架空の人物を織り込んでいるので、ノンフィクションを読んでいるような緊張感を味わいました。脳内で「ここにライドウ絡んだらどうなるかな~」とか、うっかり考えてしまったり(ちょっとだけ時代が違うか…)。日本に「九頭竜」という地名&伝承があるため、どうしてもクトゥルフの繋がりを模索したくなりますよね。2013/11/29
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