出版社内容情報
晶文社;武術;カリ;シラット;空手;心道流;光岡;韓氏意拳;当事者;発達障害;躁鬱;強迫性衝動;自律神経失調症;学習障害;禅;覚り;仏教
内容説明
親指が動かず、骨盤は曲がり、背骨がねじれ、強迫性衝動(未満)、自律神経失調(未満)、学習障害(未満)…等々。数えきれない「ままならなさ」を抱える著者による、当事者研究の新しい極北。自らの身体の層に宿る「さまざまな他者」との出会いがもたらすものとは。
目次
第1章 バラバラにズレた心と身体のあいだの観察(だって心がそうさせるだもん;チックとお祓い ほか)
第2章 ズレているのにズレてはいけない奇妙な世界(意識でマネジメント;「意識する」が現状にもたらしたこと ほか)
第3章 「あいだ」からみた現実(サインはうまく書けなくて;巧妙な意識的統合 ほか)
第4章 身体観から現実を捉える(カフェラテはうまくつくれない;インクルーシブな社会を憂う ほか)
第5章 武術で知った身体と現実の多層性(シラットで知る取り合わないコミュニケーションと身体の層;相手に取り合わないという敬意の払い方 ほか)
著者等紹介
尹雄大[ユンウンデ] 
1970年神戸市生まれ。インタビュアー&ライター。政財界人やアスリート、アーティストなど約1000人に取材し、その経験と様々な武術を稽古した体験をもとに身体論を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Sakie
15
          
            たぶんすごい本なのだ。親指が行方不明くらいならぼんやり想像もできようが、その後のあれこれに至っては全く途方に暮れる。尹さんの「体の知性を取り戻す」が私と私の身体の融和への光明になっただけに、この圧倒的な置いて行かれ感に呆然としてしまった。しかし私には私の、身体的にも精神的にも"他にどうしようもできなかった"記憶があって、それのことなんだろうと含むしかない。意識と身体のズレ、思考と時間のズレ、かと。手首の関節を限りなく曲げていく光岡先生の練習が興味深い。加減を知悉しないと折れるし、信頼がないと任せられない。2022/03/24
          
        *
14
          
            体と心は、最も身近な他者。ズレていく両方の「あいだ」で、もがく自分。一方、心身と外界の「あいだ」には無数の現実がある。どれもこれも、まとまらないから、ままならない。ただ、それを「生きづらさ」では終わらせない▼ "思考と身体感覚の隔たりは、まだまだ未熟で社会性が足りないから生じるのではない。そのズレは、その人自身だから生まれるものだ。(P.69)"読書を通じて、「ひとつの感受性=自分」だとか、「名付けられた社会性が欲しい」と思ってしまう癖を再発見したかも。2022/11/03
          
        ねこっち
3
          
            自閉とか統失とか、そんな言葉さえ失礼で無駄なことだなと思わされたな。他者理解は勿論、自己理解も不可能だと私は思っているからな、色んな人がいる、これに尽きる。精神疾患ラベリングされている私として、成る程〜と思うようなところもあったりなかったり。不思議な本であった。2024/04/24
          
        さたん・さたーん・さーたん
2
          
            著者が抱える体の「ままならなさ」をめぐり、「生きていることの当たり前」や健常さを再考し身体観を捉え直す。確かに私は「意識的に」自らを鞭打ち、「○○しなければ」と体をこき使い意識に伺いを立てる意識至上主義とでも言うべき生き方をしてきた。そんな私に真正面から一石を投じてきたこの読書体験は感慨深い。心とは、過去を振り返っては後悔をし、未来を仰いでは欲望を生む。こんなに不可視不可知のものに構成されながら、見えるものにしか敬意を払わない価値観のメッキの下を垣間見る。2023/03/28
          
        江藤 はるは
2
          
            👍2022/02/28
          
        

              
              
              
              

