出版社内容情報
学び直しは、生き直し!NHK『クローズアップ現代』などで紹介され話題。
課題集中校の元名物校長が学力神話を吹き飛ばし、真の学びの場とは何かをパワフルにつづる痛快教育エッセイ
「小学校から不登校で、発達障害も疑われ、学力もなく将来が不安です。私自身も精神に不調を抱え、子どもと二人で話をしていると、生きていても仕方がないと思って涙が止まらなくなります」――教育相談に訪れたあるシングルマザーの涙声が心に刺さった。今の日本、どこにでもある光景だろう。
自分は劣っている。自分を肯定できない。そんな人に言えない苦悩やコンプレックスを子どもに強いているもの、それが「学力」である。上級学校に進学することが幸せにつながる。大学を出ればいい仕事に就ける。経済力のある家庭では、塾や家庭教師にわが子の学力向上と将来を託す。一方、貧困家庭や一人親家庭の子ども、外国にルーツをもつ子どもとその保護者は、頼れる人もなく、学力至上主義に陥った学校教育の袋小路で立往生している。
中学生の99%が高校へ進学する今日、日本全体が「学力神話」の金縛りにかかっている。学力の上位層と下位層が同じ学校教育の土俵に立っている。それがドロップアウトの元凶だ。未来を生きる子どもたちには、「学力」とは別次元の大切な「物差し」があることを伝えなければならない。目の前の子どもをまるごと認め、一人ひとりのよさを生かして社会を生き抜くことを応援する教育、それを実践する学校がいま求められている。
教育に関する本は「上から目線」の教育批判、教員批判、家庭批判に陥りがちだ。ましてや元校長の書く本など、たいていは自慢話か、教育行政や教育関係者への恨み辛みの吐露に終わる。そういうものとは違う、こんな本を書いてみたかった。本書は、課題集中校で14年間にわたって書き綴った「校長通信」を再構成したものである。学力神話からこぼれ落ちた高校の「ざんねんな教育」の犠牲になりながら、それでもめげずに頑張る生徒、保護者、教職員を応援するのが目的だった。その記録をもとにした本書を、同じ境遇にあえぐ人たちへのエールとして、またボトムアップの教育改革論として提供したい。(いそむら・もとのぶ)
内容説明
さらばドロップアウト―とことん面倒見のよい学校とは。
目次
第1章 ざんねんな大学受験
第2章 ざんねんな教育改革
第3章 昭和の坊ちゃん
第4章 ぼうずの校長通信
第5章 ぼうずの夢七夜
第6章 ライブな校長式辞
終章 シビアな校長評価
著者等紹介
磯村元信[イソムラモトノブ]
1957年生まれ。1979年筑波大学卒業。2008年度から2018年度まで東京都立秋留台高等学校校長11年在任。「学び直し」の高校というコンセプトに行き詰っていた秋留台高校を「若手教員のボトムアップ」という現場主導の改革手法でリニュアルして退学者を半減させる。2019年度から2021年度まで東京都立八王子拓真高等学校校長3年在任。「不登校」チャレンジ枠の昼夜間3部制定時制の制度を生かし「高校の最後の砦」として「生徒をとことん面倒を見る」学校経営を推進して退学者を半減させる。この活動が広く評価されて、NHKクローズアップ現代「さらば!高校ドロップアウト “負の連鎖”を断ち切るために」、NHK ETV特集「さらば!ドロップアウトの高校改革1年の記録」などで紹介された。2023年度より、ぼうず教育実践研究所代表。東京都立羽村高等学校非常勤教員、東京祢立荒川工業高等学校経営アドバイザー、立川市子ども・若者自立支援ネットワーク認定学校案内コンシェルジュなどを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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