出版社内容情報
好評既刊『心根(マインドウェア)の経営学』4論考を一新し、閉塞突破の鍵となる新稿4本を加えた待望の再編集版
日本は最近、内向きになっているとよく言われますが、はたして本当にそうでしょうか? 筆者は最近の企業の動きを見ていて、必ずしもそうではないと思います。たとえば、昨年2010年は、日本企業の海外現地法人の現地化が本格化した年です。これまでも数のうえでの現地化は進んでいましたが、日本企業が本腰を入れてトップに現地の人を据えようと動き出したのは昨年ではないかと思います。その意味で「現地化元年」と呼ぶことができるでしょう。またこの年は日本を代表する大手企業がこぞって、外国人社員の採用に踏み出した年であり、その意味では「外国人社員活用元年」でもあります。さらに、日本企業数社が英語を社内の共通語化することを打ち出した年で、いわば「英語社内共通語化元年」でもあります。経営のグローバル化が進むにつれ、多国籍チームでの仕事が増え、様々な文化的背景の人材を活かすことが企業の競争力と社会的評価の鍵を握るようになってきました。これまで比較的均質な社会構造で、あうんの呼吸で仕事をしてきた日本人も、これからは、積極的に異なる価値観の人々と交わる必要があります。そのため、「異文化」や「多様性」に対して「寛容」であり、かつ「耐久力」を身につける必要があります。日本の良さを保持しながらも、自分の“快適ゾーン”から一歩外に出て、適度な競争環境に身をおくことをためらわず、「広い世界観と深い教養を備えて、世界の人々と対峙する人」が今、求められています。国籍、民族、ジェンダー、言語、宗教、障害の有無、性的志向など、あらゆる“属性”を越えて、互いの価値観や考え方を学びあい、創造力を駆使し相乗効果を生み出す「マインドウェア」を実践し、人と連携して経営を行なう「ダイバーシティ・マネジメント」と「異文化経営」の担い手こそが、この二一世紀を切り開いていくに違いないと確信しています。本書はそういった「グローバル・リーダー」の育成の一助になることを願って執筆しました。経営の最前線で仕事をされているビジネスマンのみならず、就職難の折、苦労しながら仕事を探し、これから社会に羽ばたこうとしている学生さんにも、是非読んでいいただきたい本です。(著者 馬越 恵美子)
内容説明
異文化経営は国民文化の違いによるビジネス慣習の相違に焦点を当て、ダイバーシティ・マネジメントは社内のさまざまな属性グループが持つ属性の相違に重心をおく。このように出発点は異なるが、両者は「あらゆる属性の人たちの多様性(ダイバーシティ)を尊重し、これを大切に活かす」という究極の目的を共有している。
目次
第1章 異文化コミュニケーション
第2章 マインドウェアの人事戦略
第3章 海外直接投資に打って出た日本企業
第4章 マインドウェアの芽はいずこに
第5章 地殻変動、その後
第6章 異文化経営とダイバーシティ・マネジメント
第7章 日韓企業におけるダイバーシティ・マネジメント
第8章 グローバル人材の育成と留学の効用
著者等紹介
馬越恵美子[マゴシエミコ]
上智大学卒、慶應義塾大学大学院修了。経済学修士。博士(学術)。同時通訳、東京純心女子大学教授、NHKラジオ講師を経て、桜美林大学経済経営学系教授・筑波大学客員教授・異文化経営学会会長・東京都労働委員会公益委員。『異文化経営論の展開』(学文社、2000、戦略経営協会・アンゾフ・アウォード特別文献賞受賞作)、“Diversity management and the effects on employees’organizational commitment:Evidence from Japan and Korea”,Journal of World Business,Vol.44,No.1,January 2009(共著、国際ビジネス研究学会・学会賞受賞作)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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