出版社内容情報
【男の性の知られざる歴史ドラマ】17-18世紀,フランスにおいて性的能力がないとみなされたため法廷に立たされ,社会の除け者とされていった不幸な犠牲者たちを描き出す。
内容説明
17、8世紀、狂人、貧民、同性愛者、神を冒涜する人、錬金術師らと並んで、社会ののけものとされた人びとがいた。かれらは、性的能力がないとみなされたために、法廷に立たされて、「男らしさの神話」の代償を払わされた…。本書は、この法と宗教のつめたい機械にこなごなにされた不幸な犠牲者たちの知られざる歴史ドラマを通して、かれらを執拗に迫害した人たちの心性にひそむものを探りだす。
目次
第1部 結婚と性的不能(法医学的にみた性的不能;どっちつかずの状況;性的不能者の結婚)
第2部 婚姻無効の裁判(不能者裁判の全体的な枠組み;裁判の実施;予備的手続きと尋問)
第3部 18世紀までの法医学上の手順(裁判と妻の検査の根拠;性器鑑定の段取り;コングレ〈性交実証〉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
59
中世では「重婚」「生物学的に同性」「夫が性的不能者」という理由以外では、教会が離婚を認めなかった。そのため、妻からの「夫の性的不能」を理由にした離婚裁判が多発したらしい。フェミニズム関連本を読んでる時に「結局、この痛みを僕は最後までは決して理解できない」という居心地の悪さを感じてしまうことがある。でもこの本で訴えられた夫たちの恐怖は、我が事のように理解できた。逆に女性には、この恐怖を理解しきることは難しいんじゃないだろうか。教会での勃起や処女膜の確認、裁判官の前での性交実証の醜さは「チ。」を思い出させる。2022/10/24
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