出版社内容情報
戦時色強まる朝鮮半島で土木事業に従事した当事者が綴る、日本が戦前朝鮮で行ったことの貴重な記録。
内容説明
昭和初年、著者が見た朝鮮半島の山河はいまだ荒れ果てていた。この地を豊かな水田に改良して米の増収をはかるため、著者は朝鮮の人たちとともに各地を渡り歩いて水利工事に取り組む。貯水池を設け、水路やトンネルを掘り、道をつくり、橋を架ける。戦時色の強まるなか、鉄道工事にも手をそめる。そして、鴨緑江に橋をかけ、平安南道安州の大規模な農地開発に着手して二年後、突然の終戦。もし、あの水利事業と干拓工事が完成していたなら、現在の北朝鮮の食糧不足はかなり防ぐことができたのではなかったか・・日本が朝鮮半島でおこなった土木事業の実態を当事者が回顧した極めて貴重な記録。
目次
佐世保から京城へ
牛城水利の出面取り
京城の工科学校に学ぶ
現場代人をはじめて務める
伊川水利の大工事
嫁探しに帰郷する
赤壁橋の架設工事
朝鮮半島の生活
鉄原の荒れ地を耕地整理する
鉄道工事で大怪我を負う〔ほか〕
著者等紹介
松尾茂[マツオシゲル]
明治43(1910)年佐賀県生まれ。大川内尋常高等小学校卒後、佐世保商業専修学校卒業。昭和3(1928)年朝鮮半島に渡り、京城の合資会社中村組に入社。養父松尾梅次郎のもとで土木工事の技術を習得する。同時に京城昭和工科学校に学び卒業。以来18年間にわたって朝鮮半島全土の土木事業にたずさわる。終戦後、昭和21(1946)年7月までの安州の平南水利工事事務所で施工に協力するが完成には至らなかった。同年11月引き揚げ船で博多港上陸。昭和23年前田建設株式会社に入社、作業主任として土木事業に従事する
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