内容説明
第一次世界大戦の泥沼化にともない、帝政ロシアの混迷は末期的な様相を呈しはじめる。皇后の絶大な信任を得て影響力を振るっていたラスプーチンは、「君側の奸」としてさまざまな立場の人間につけ狙われ、ついには暗殺者の手にかかる。本書は、数々の謎に包まれている暗殺事件に多様な角度から光をあて、遺体から毒物が検出されなかったことをはじめ、意外な新事実をあばきだす。皇帝一家を精神的に支え続けたラスプーチンが死んで数週間後、帝政ロシアもまたその歴史に幕をおろす―。秘密警察資料を縦横に駆使して描く、大転換期を生きた巨大な人間像に肉迫する力作。
目次
第16章 「私は偽ハリストスを殺した!」
第17章 モスクワでのどんちゃん騒ぎ
第18章 復讐
第19章 「神は彼にすべてを開きたもう」
第20章 二人の理想主義者
第21章 グリゴーリー・エフィーモヴィチの人生の二週間
第22章 「奴らはきっとわしを殺しにくる」
第23章 「両陛下のために出ていってください」
第24章 売春宿で演じられる悲劇
第25章 「ヴァーニャがきた」
第26章 死んだ犬
第27章 真実はどこに
第28章 大転機
第29章 それぞれの運命