出版社内容情報
読みだしたら止められない。一晩で上下ニ巻を一気に読んでしまった。被差別カースト民に生まれ、ほとんど犬以下の扱いを受け、ありとあらゆる屈辱と虐待をうけ、やがて盗賊団に身を投じ、自分を虐待した連中に復讐をとげる.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』149頁、より)
内容説明
ジャングルの中を音もなく移動する盗賊たちと行動をともにするうち、プーランは初めて人間として扱われる喜びを感じていた。だがそれも長くは続かない。愛する首領ヴィクラムが、彼女の目の前で凶弾に倒れてしまったのだ―。深い悲しみと激しい憎悪を胸に、彼女はみずから盗賊団を率い、彼女を辱めた男たちへの復讐に立ち上がった。警察官を含む二十数人の権力者を射殺し、彼女は反逆の象徴として民衆の英雄となってゆくが…。貧困層から圧倒的な支持を得て、国会議員に当選した元女盗賊プーランが、いまはじめて彼女自身の秘められた生い立ちを語る。
目次
3 復讐(はじめての恋;復讐の味;正義;武装した女神 ほか)
4 解放(包囲網;裏切り;交渉;投降の日 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
98
不本意ながら盗賊としてしか生きられなかったプーランは、自分をレイプした男のペニスを潰し、やがて金持ちから金を奪い貧しい人に分ける義賊となる。無学ながら勘の良さと度胸で人々に支持されるプーラン。低カーストの女性をレイプした男達のペニスを切り落とす場面はやんやの喝采。いいぞ、プーラン、もっとやれ!何度も殺されかかるが生き延び、最後は投獄された。たまたま低カーストの人々が力をつけてきたタイミングで釈放される。これが最近の出来事。まだインドは近代化されておらず、女性は差別に苦しんでいる。プーランよ永遠に。2021/06/14
metoo
56
インドで日本人女性を含め悲惨な事件があり、怒りと悲しみが湧き上がり、そういえば、と思い出し読み始めた。プーラン・デヴィが語りテキストおこし編集し翻訳した本書。プーランに読んで聞かせ全ページに承認のサインをもらっているので本人の記憶に忠実な伝記。農村の低カースト層に生まれたプーランの悲惨な生き様を淡々と綴るこの伝記から、インドの悲惨な事件の歴史的な背景が浮き彫りになる。プーランは生きながら死に石になりジャングルに行った。これ以上、石を増やしてはいけない。2015/03/01
ゆみねこ
24
上下巻を一気に読み切った。貧しく下位のカーストに生まれ、女であったことで教育の機会もなく、数奇な運命に翻弄されたプーラン。しかし彼女の父のように諦めた生き方を受け入れず、悪と闘うこと、理不尽なことに立ち向かう生き方は清々しいものがあった。暗殺されてしまったとのこと、残念。インドの格差を無くす政治家として、もっと生きて欲しかった。2012/05/16
Nobu A
22
上巻に続き、下巻も読了。但し流し読み。97年刊行。推定1958年生まれのプーラン・デヴィの自伝。上巻の感想でも述べたが、カースト制度に似たものは日本にも存在した。しかし、主人公の復讐や投獄を経ての国会議員当選等は国内では戦国時代宛ら、しかも女性版。どう捉えるのかは読者次第。平和な日本に生まれてきて良かったと思うのか、インドの不条理に立ち向かった主人公に感銘を受けるのか、正直思うことは色々とあるが、感情移入は出来なかった。運を味方に付け仲間もいただろうし、何が凄かったのか、何を学ぶべきか今一つ解らなかった。2024/08/09
葵
19
インドの貧しい村で低層カーストで生まれたプーラン。想像を絶する暴力とレイプは繰り返され、復讐を誓い女盗賊となる。後に富裕層や凌辱した男たちに復讐(場合によっては殺害)する様は、正直胸のすく思いがした。投降し服役した後に政治家になったという話は感動的だが、暗殺によって志半ばで斃れたのが残念でならない。インドってデリーとかムンバイのイメージが強いけど、当然こういう田舎があるんだよね。踊るばかりのインド映画しか観てるんじゃ駄目だな。カーストというものの根強さと理不尽さに震えた。理解できなくても知ることが重要。2020/08/23