出版社内容情報
読みだしたら止められない。一晩で上下ニ巻を一気に読んでしまった。被差別カースト民に生まれ、ほとんど犬以下の扱いを受け、ありとあらゆる屈辱と虐待をうけ、やがて盗賊団に身を投じ、自分を虐待した連中に復讐をとげる.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』149頁、より)
内容説明
本書は、数奇な運命に翻弄されながら、決してそれに屈することのなかった一人の女性の、波瀾に満ちた半生の記録である。インドの極貧の村に低カーストとして生まれ、わずか十一歳で三十過ぎのやもめと結婚させられた少女プーラン。虐待の末に婚家を追い出された彼女を待ち受けていたのは、村八分、白昼のレイプ、盗みの濡れ衣、取り調べと称する暴行など、いわれのない虐待の限りだった。そんなある日、盗賊団に誘拐され、彼女の運命は大きく変わろうとしていた―。
目次
1 虐待(村の生活;暗黙の掟;反抗的なこども ほか)
2 運命(あらたな屈辱;濡れ衣;だれにも言えない恥辱;無知という残酷 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒兎真暗ミサ【副長】
28
文盲の国会議員、プーラン。この物語は、その地位に行き着くまでの彼女の半生を描くものであり、また彼女の告白でもある。インドの文盲率は人口の60%であり、彼女も例外ではなかった。満足な教育以前にインドの男尊女卑は犯罪に近い、またはそのもの。11歳からそんな現実の渦中に投げ出されたプーラン。いつもいた心の中の女神と、自分のプライドのみを支えとし生きるプーランは常に社会から抹殺されかける。そんな逃げ、耐える日々の中でプーランが出会ったもの……それが彼女の未来を決定づけた。その運命的な出会いは、下巻で明かされる!!2024/05/14
ゆみねこ
26
インドの極貧の村に最下層のカーストとして生まれ、数奇な運命をたどった女性プーラン・デヴィの半生を記録したもの。貧困と男女差別、11歳で30過ぎの男に嫁がされ、虐待を受け、理不尽な仕打ちにあえぐ彼女。盗賊団に誘拐されて運命が大きく変わる。とにかく凄まじい運命に絶句する。下巻へ。2012/05/15
Nobu A
24
HONZ推薦本。97年刊行。カースト制度の最底辺で育ち、11歳で結婚を強いられ、村八分、レイプ、盗賊による誘拐と次から次へと襲う絶望なまでの境遇。その後、盗賊の女王、11年間の牢獄生活後にインド統一選挙に立候補し国会議員となる波瀾万丈な人生が下巻で綴られる。前半に関しては日本でも江戸時代の士農工商と言う身分制度の下に穢多非人があり、近代においても部落差別が存在。日本でも大なり小なり同じようなことが起こっていたのでは。後半は国内では有り得ない現象。そう言う意味で本書はあまりのめり込めなかった。流し読み読了。2024/08/07
きゃれら
23
去年夏、本の断捨離を敢行した際、倉庫からサルベージしちょっと迷って残した本。残して良かった、いい勘してる。 インドの最低層カーストに生まれた少女が20世紀の出来事とは信じたくない悲惨な虐待、性的恥ずかしめ、それを元にした排除を受け続けるが、盗賊に誘拐されて運命が一変し‥、という実話。プーランさんへの繰り返される仕打ちは読むのが辛いほどで、何度も深呼吸しないと読み通せなかった。復讐の下巻へ。2023/04/20
にがうり
20
これも20年近く積んでいた。義賊として英雄視する人々もいたようだが、多くの殺人を犯した犯罪者であることも事実。ただ、復讐だけを生きる力にするしかなかった彼女の人生に別の選択肢があったかといえば、なかったのだろう。正しい道でなかったとしても、彼女のように闘うこともできず、闇に葬られた低カーストの女性たちがどれほどいることか。今でも、女性への残虐な犯罪のニュースは後を立たない。プーランが生きた時代から、一向に変わっていないことも多い。2019/01/04