目次
宮大工という仕事
木を長く生かす
木の二つの命
礎石の大切さ
木の触り心地
飛鳥の工人に学ぶ
古い材は宝もの
千年の命の木を育てる
宮大工棟梁の自然観
道具と大工の魂〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
44
最後の法隆寺棟梁。昭和6年から法隆寺の解体修理を手掛けてきた専属宮大工だ。保坂和志さんが現代社会/科学的思考法が失ったものの一つに「技の伝承」を挙げていたので確認してみたら、思いのほか凄い。吃驚したので長文になる。日本書紀に「宮殿には檜を使え」と伝えられてきた木造建築の技。最古の木造の法隆寺がなぜ1300年もっているのか。樹齢2千年の檜は2千年もち、樹齢百年の木は百年もつという。松の寿命は五百年なのに檜の寿命は3千年。植樹ではこんなに生きられず、今台湾にしかないというが、まず使っている木材が違う(続く) 2014/11/08
とりあえず…
37
高校生の頃、奈良の建造物に興味を持ち、父に教えてもらったのが西岡常一さん。その頃にも西岡さんの本は読んだが、今読むと切なさすら感じてしまう。それくらい失われつつある生き方であり、考え方なのだ。しかも西岡さんの語り口調は亡き祖父と全く同じ(ほぼ同郷だろう)。木と人は似たようなもんだと捉え、癖の強いほど命も強いと説き、経験を信じず、学問を偏重するようになった現在に苦言を呈する。20年前で既にそうだったが、社寺仏閣に使えるような檜はもう既に日本にはない。悲しい…2014/08/27
藤枝梅安
29
法隆寺・薬師寺の修理や再建を手がけた宮大工・西岡常一さんのお話を、塩野米松さんが聞き書きした1冊。「聞き書き」なので、同じ話が何度か出てくるが、すべてが心にしみてくる話。「木の癖を知って、適所に使う。人間も同じ。その人間の特徴を見抜いて適所に配する。」 「南向き斜面に生えていた木は南側に使う。薬師寺の塔の南面の柱に節が多いのは南側に生えている木は枝が多く節が多いのだ。」など、法隆寺・薬師寺に行ったらもう一度じっくり確かめようと思う。2011/01/30
ひめぴょん
17
生まれた時から祖父から法隆寺棟梁になるためにと躾けられる。辛いこともあった。だから子には自由な道を選ばせた。その厳しい修行とも思える道の振り返りを語る本。でも、人間の限られた人生で超一流のことを成していくためにはどれだけ長くそのためにやってきたかというのは大事なポイントでもある。やれば必ず結果につながるわけでもない、金銭面では家族に多大な苦労を掛けたが、いい時代に巡り合わせたと振り返って言えるのは幸せな事。私も振り返った時よかったと言えるようでありたい。そのためには目先にとらわれず、自然を見、謙虚な気持ち2024/04/01
かおりんご
16
エッセイになるのかな?どうしてこの本を読もうとしたのかは覚えていないけれど、読みたい本に入れた私、グッジョブ!宮大工の話もあり、自然と共存する話もあり、人を育てる話もあり、どれもなるほどと考えさせられる話ばかりでした。自分の仕事について、改めて考えてみたいです。子供たちの個性を生かし、のばして教育する。それが学級の棟梁たる教員の仕事なんでしょうね。2013/10/06