出版社内容情報
ウィリアム・パウンドストーン［ウィリアムパウンドストーン］
森夏樹［モリナツキ］
内容説明
検索すればありとあらゆる情報が手に入る時代に、なぜ知識をたくさん持つ者は持たざる者よりもお金を稼ぐのか？リツイートやシェアされた記事の真偽を見極めるためにはどうすればいいのか？無知から来る自己の過信＝「ダニング＝クルーガー効果」をキーワードに、さまざまなジャンルを横断しネット時代における新しい知のあり方を提案する。
目次
１ ダニング＝クルーガー効果（「ジュースを塗ったのに」；無知の地図；愚か者の歴史；五人に一人の法則；情報に乏しい有権者）
２ 知識のプレミアム（事実に値札を付ける；エレベーター・ピッチ・サイエンス；グラマー・ポリス、グラマー・ヒッピー；ナノフェイム；エビはコーシャーか？；哲学者とリアリティー番組のスター；セックスと不条理；ゴールポストを動かす；マシュマロ・テスト；浅学の価値）
３ 文化を知らない世界（知的レベルの低下が厳しいとき；キュレーションの知識；氷の謎；キツネとハリネズミ）
著者等紹介
パウンドストーン，ウィリアム［パウンドストーン，ウィリアム］ ［Ｐｏｕｎｄｓｔｏｎｅ，Ｗｉｌｌｉａｍ］
ＭＩＴで物理学を学ぶ。専門は物理学と情報理論
森夏樹［モリナツキ］
翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
13
アメリカの創建者たちは、合衆国を地中海の民主主義をモデルにして建国した。が、彼らはアテナイの民主主義が持つ、もっとも急進的な革新性を見落としていた─ ─ それが「ランダム・サンプリング」（無作為抽出）だ。アテナイでは、ほとんどの役人と立法機関はくじによって選ばれた。その目的は仕事にもっともふさわしい人々を選ぶことではなく、むしろ市民の代表サンプルを成就することだった。／期待した内容と一致してなかったですが、「ダニング＝クルーガー効果」という言葉を知ったのと、この一文が印象に残りました。2017/05/31
かず
7
ある事項が保存されていることを知らされると、記憶される割合が減る。旅行時写真を撮るとその記憶が残る可能性が減る。自由社会の大きな課題は、事実上ほとんどの人が誤解している時に、どうすれば賢明な判断をすることができるかということ。人の心を支配するのは数では無く、感情。2017/11/23
人生ゴルディアス
7
教養とされる浅い知識は、概ね無用の長物ではないらしい。様々なトピックに反応できれば、色々な人々と会話ができて、それは社会生活上有利になるので収入増につながるというのは想像がしやすい。また、知識は世界を理解する取っ掛かりでもあるから、多くを知っていればさらに多くの物事に気が付くことができる。恐ろしいのは、無知であるほど自分が無知であることに気が付ないこと。また、他者に対して差別的になったり過度な警戒心を抱きがちなこと。放射能と放射線の区別もつかないのに基準値以下の数値に怯える放射脳や反ワクチンの自然派ママ等2017/04/20
ココアにんにく
6
ダニング・クルーガー効果は最近最大の関心事。無知からの過信という逆説的な所が面白いです。メタ認知的技能を手にすれば自分の無能力を認識できる。学習の大切さを実感。文脈的な知識、リサーチ技術そして若干の懐疑心。一方ダニクル人生でも楽なのでは⁉しかし事例を読むと散々。年収の差も大きいし宝くじの例などゾッとする。グーグル効果や合理的な無知も初耳で興味大。何かとグーグル先生に頼ってしまう。文中の設問が米国民向けなので日本版があれば。政治的左右は日本でも。三八〇度(202p)はあえて誤植⁉グルテンフリー知らなかった2019/04/16
しんすけ
6
読了直後に「21世紀が生んだ最大の哲学者はドナルド・トランプである」ってのが常識になるかもしれない、そんな気分に取りつかれてしまった。本書は人間の無知という側面を分析したものである。人間という生態は主体的に知識を取得しないかぎり無知になるものらしい。情報に受け身になったとき、己を愚人と看做すのが正解なのだが、愚人にとってそれはかなり難しい。ネットワークの傘下で痴呆化した自分を見せつけられるような恐ろしい本でもあった。2017/06/27
