生権力の歴史―脳死・尊厳死・人間の尊厳をめぐって

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生権力の歴史―脳死・尊厳死・人間の尊厳をめぐって

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  • サイズ B6判/ページ数 429,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791766789
  • NDC分類 490.15
  • Cコード C0010

内容説明

なぜ脳死が人の死とされるのか、なぜ尊厳死が推進されるのか。「人間の尊厳」の系譜を、ギリシア哲学やキリスト教神学からたどり直し、生権力の淵源に迫る画期的な著作。

目次

第1章 尊厳死法制化の歴史構造―その多面的検討(安楽死と尊厳死の諸相;尊厳死法制化の思想と制度的背景;自己決定権という罠、尊厳死推進真意;おわりに)
第2章 「人体革命」の時代―「人間の尊厳」概念と「自己決定権」への批判的視座(「人間の尊厳」概念の再構築へ;自己決定権の現実的・歴史的な問題;自己決定権の原理的な問題と「共鳴する死」;おわりに)
第3章 爛熟する生権力社会―「臓器移植法」改定の歴史的意味(「脳死=人の死(の基準)」の展開史
日本の医療・福祉の縮減化の沿革―尊厳死法制定へ
臓器移植法改定の思想―コント・スポンヴィルの諸説を通じて
臓器移植法改定と生権力
おわりに)
第4章 フーコーとアガンベンの終わりなく遠ざかる消失点―生権力論を錬磨する(フーコーの忘れ物;アガンベンの骨格―『ホモ・サケル‐主権権力と剥き出しの生』;「ホモ・サケル」プロジェクトと『開かれ―人間と動物』;アガンベンの世界変革の理路―「空虚」・「無為」・「潜勢力」;アガンベン生権力論の異彩と撞着;おわりに)
第5章 生権力の厳かな発動源―「人間の尊厳」概念の歴史的検討(「人間の尊厳」概念の系譜1―ピコとその後裔たち;「人間の尊厳」概念の系譜2―ハイデガーの蹉跌;「人間の尊厳」概念の爆裂―強制安楽死・ユダヤ人大量殺戮の思想構造;戦後世界への浸透―世界人権宣言・フレッチャー・生命倫理;おわりに)

著者等紹介

小松美彦[コマツヨシヒコ]
1955年東京生まれ。1989年、東京大学大学院理学系研究科・科学史科学基礎論博士課程単位取得。玉川大学文学部助教授などを経て、東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授。専攻は、科学史・科学論、生命倫理学。人間の生や死をめぐる問題を主に歴史的な視座から研究し、脳死や尊厳死の問題に対しては、はやい時期から積極的に取り組み、発言を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

pinoo

4
ルネサンス期、特にミランドラ以降現代まで人間が求めてきた「人間の尊厳」という概念が、ハイデガーやフーコー、アガンベンの哲学を批判的に引きながら相対化された。優生学において顕著にみられるように、「人間の尊厳」の根拠を定めてしまうこと自体が人と人の間に線を引くことであり、暴力的側面を持つ。それは生権力の核をなし、脳死者のような「境界」に居る人間への眼差しにおいて先鋭化する。終章では脳死の子を失った母の事例を取り上げながら、「ただ存在すること」を肯定できる思想を紡げるか?という難題を提起しているように思われた。2017/02/07

(・ω・)ノ

1
アガンベンを受け継いで、尊厳を切り札に宙吊りの生と権力の射程をはかる、ガンガン深いとこついてく本でした。 ベンヤミンやアガンベンのこと知らなくても解説してあって読みやすいです(・ω・)ノ 現代の社会問題、それも自己決定に隠された生権力のメッセージ、ドキドキもんですよー(・ω・)ノ2013/12/13

おかえ

0
私の恩師の本なので、タイトルを見ただけで中身が分かった。「境界線を引く」ことの問題性については強く共感する。残された課題は、人と人との交歓が「人間の尊厳」を生むということの理路を整備すること(交歓がなくても尊厳を感じることはいくらでもある)、近代国家そのものの解体を目指す青写真を示すことではなかろうか。2018/08/20

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