オトメの身体―女の近代とセクシュアリティ

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オトメの身体―女の近代とセクシュアリティ

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  • サイズ B6判/ページ数 271p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784314006859
  • NDC分類 367.21
  • Cコード C0036

出版社内容情報

大家族から離れ,独自の世界を持ったオトメたちは,身体にまつわる悩みにも一人で立ち向かわねばならなかった。化粧や美容をはじめ,月経,避妊,さらには純潔イデオロギーの問題を,オトメたちはどのようにとらえていたのか。オトメたちの身体感覚に,近代が与えた「変貌」と「煩悶」の実態を,豊富な資料をひもときながら,あきらかにする。

★上野千鶴子さん(東京大学教授)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 川村邦光さんの「オトメ三部作」が完結した。この人の専門はいったい何だろうか? 最初は女性史家かと思っていたが、民俗学者として出発したというし、最近では戦死者の研究をやっている。それにしても達者な人だ。
 『オトメの祈り』が刊行されたとき、戦前の女性誌の読者のお便り欄に目をつけるという着眼点のよさに一驚した。そして、やられた、と思った。「男のくせに」という差別発言まで出そうになった。メディアのオモテに出にくい女性大衆の声を拾い、読者研究をやってのけたのは、女性誌ジャーナリズム研究の中でも先駆的であり、カルチュラル・スタディズの受容論を先取りしていた。しかもどの著作も、抑圧的でも解放的でもある「女の近代」へと女性自らが共犯的に関与していく能動性が描かれている点で、ポスト構造主義のエイジェンシー論と響き合ってもいた。巻末の文献リストを見ると、女性誌関係の文献がえんえんと並んでいるが、この人をこれだけ女性誌に耽溺させたエネルギーは何だろう? 大塚英志がM君をさして「少女になりたかった男」と呼んだが、この人もそうとうにオタクだったのだろうか?」

*******************

「女性にとっての近代」を問い直す  川村邦光の本


<乙女>から<処女>へ
近代の時空間のなか、
変貌する
少女たちの身体感覚

<ブルジョワ的身体>に
目覚めていく
オトメたち

*******************

はじめに  オトメの身体
    ◆愛する乙女たちよ  ◆オトメ宣言  ◆男は喧嘩犬、女は台所豚
      ◆涙の共同体 - オトメよ、強くあれ

1 〈ブルジョア的身体〉への目覚め
    ◇身体の装い
       ◆化粧 - ”垢抜”と”野暮” / ◆見られる身体/見せる身体
    ◇”老い”と”労働”の否定
       ◆シワへの嫌悪  ◆日焼けを避けよ  ◆美容問答  ◆”やせ薬”広告
       ◆健康美へ  ◆肉体の時代へ  ◆肉体美への旋回  ◆女性肉体美学  ◆身体の”改造”
    ◇オトメの身体イメージ
       ◆ナルシズムの身体  ◆恋する身体  ◆エロスの身体  ◆病める身体

2 悩めるオトメ
    ◇悩める身体
       ◆孤立するオトメ、もしくは孤独の身体  ◆女の薬  ◆煩悶の時代  ◆魂の煩悶
    ◇”煩悶”するオトメたち
       ◆煩悶の相談  ◆月経と”病弱性の神話”  ◆子宮のディスクール  ◆卑しめられるセクシャリティ

3 オトメのセクシュアリティ
    ◇月経と衛生のディスクール
       ◆月経と衛生  ◆タンポン式からナプキン式へ  ◆セクシュアリティの衛生  ◆月経とオナニー  ◆丁字帯のすすめ
    ◇オトメの月経帯
       ◆舶来の月経帯(ビクトリア)  ◆国産月経帯の誕生  ◆オトメ・イコンの(安全帯)
       ◆諸姉さん方はビクトリヤをお持ちでしょ(ビクトリヤ月経帯)  ◆美神の訪れ
    ◇月経帯と身体感覚の変容
       ◆月経帯をつける男 ◆(アンネナプキン)の誕生  ◆今日はビクトリヤよ
       ◆袴から洋服へ  ◆飛んでも、跳ねても  ◆布製の月経帯  ◆月経処置に関する思い出  ◆母子伝承の衰退

4 “処女”への水路
    ◇“処女”のセクシュアリティ
       ◆“処女性”の衛生  ◆“処女”という自称
    ◇“処女”の本性
       ◆乙女から処女へ  ◆純潔の“処女”  ◆“処女”の誇り/無知の“処女”

5 “純潔‐純血”イデオロギーの誕生
    ◇“処女”という名のもとに
       ◆“処女性”論争  ◆伊藤野枝の処女論  ◆らいてうの処女論  ◆晶子の処女論  ◆“処女”の呪縛
    ◇“処女”の純血
       ◆“血”と“処女”  ◆“血の純血”
    ◇“純潔‐純血”イデオロギーの形成
       ◆“処女性”の純潔  ◆“血の純潔”に悩む  ◆“血”の汚れ  ◆“純潔‐純血”イデオロギーと社会層

おわりに―性欲と性家族の出現
       ◆グリーンスカートの乙女達よ  ◆性欲という問題  ◆“処女”の悲劇  ◆性家族の誕生

目次

はじめに―オトメの身体
1 〈ブルジョア的身体〉への目覚め
2 悩めるオトメ
3 オトメのセクシュアリティ
4 “処女”への水路
5 “純潔‐純血”イデオロギーの誕生
おわりに―性欲と性家族の出現

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

双海(ふたみ)

7
〈乙女〉から〈処女〉へ、近代の時空間のなか、変貌する少女たちの身体感覚。〈ブルジョワ的身体〉に目覚めていくオトメたち。処女性、子宮病、性をめぐる俗説など女の身体を取り巻く様々な問題に及ぶ。2023/04/15

kei

3
女性の身体がどのように表象されていくのか、”処女”という言葉が現在でも複数の意味をもつ言葉(「わかい女性」と「”純潔”な女性」の二種類)として扱われる歴史的経緯がわかり、面白かった。(前々から疑問に思っていたので。) 婚姻における男女の非対称性を、「純潔な女性」の身体的価値を高めることで男性にも純潔を要請しようとしたが、結果的に女性の身体のモノ化を促してしまった、というのは目からウロコ。根本における非対称さが変わらなければ、強者は強者であり続けるだけということか。2014/09/04

BsBs

2
男女間格差の発生に関する話など興味深い部分はあるにはあるのだが、どうにも煮えきらなかった。 日本で科学的思考が一向に定着しない原因の一端を見た気がする。戦前の批評家の意見もひどいの一言だが、戦後に書かれたはずのこの本の書き方もまあひどい。推定・伝聞調で書いている部分が多くしかも肝心なところに限ってそうだから資料としての信憑性が疑われる。しかもいちいち表現が回りくどい。独自の表現がほとんど説明なしに出てきたりもする。 しかしこれは日本のフェミニズムにおける名著として知られている。そう考えると、言葉を失う。2017/03/25

Gen Kato

2
明治・大正の女性たちは自分たちの肉体とどう向き合っていたのか。「不浄」とされる発想の根本は現代も根深く変わっていないなあと考えさせられつつ。当時の生理用品のあれこれ、とても参考になりました。コレに関しては間違いなく、便利でいい時代になりました。2015/03/01

すばる

1
切り口が珍しく、興味深く読めました。著者の男性としての視点が入っていない所が読みやすかったと思います2014/02/17

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