内容説明
掃除機、洗濯機、クーラー、そして冷蔵庫…。電気の登場とともにあらわれた家電品によって、史上かつてないほどに便利で快適な暮らしが誕生した。しかし、そのために私たちは「モダンライフ神話」にとらわれてしまったのだ。白物家電の系譜と表象を丁寧に読み解き、電気と科学、そして私たちの生活との関係を解き明かす。図版多数。
目次
第1章 電気時代の夜明け―エレクトリック・バナナ計画
第2章 キッチン工場―美味しい家電品
第3章 外付け式冷蔵庫―ハイブリッド論考
第4章 電気冷蔵庫の時代―色彩の政治学
第5章 白物家電の誕生―二〇世紀の神話
第6章 白いモダンライフ―白物家電の神話
第7章 美しき罪―イデオロギーの作法
著者等紹介
原克[ハラカツミ]
早稲田大学教育学部教授。1954年、長野県生まれ。立教大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻博士課程中退。神戸大学国際文化学部、立教大学文学部を経て現職。1985~87年、ボーフム・ルール大学客員研究員。2001~2002年、ベルリン・フンボルト大学客員研究員。専門は表象文化論、ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mentyu
3
いわゆる「白物家電」がどのように成立してきたのかを、白物家電の代表格だとする冷蔵庫を中心に検証していく内容となっている。19世紀の天然氷冷蔵函から書きおこし、ただの冷蔵装置が「衛生的」で「モダン」な白物家電となっていく過程を追っていく流れは非常に興味深く読めた。ただ、東日本大震災の直後に書かれたこともあり、電気に依存する生活へのアンチテーゼが随所に見受けられるのは人を選ぶかもしれない。また、表象文化論の「連想ゲーム」的な側面を擁護しようとして、文章が冗長になっているのはかえって逆効果のように思えた。2018/01/21
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
2
子どもを持って最初に衝撃だったのは、「花は美しい」というのは誰かがインプットしないと得られない感覚であること。誰かが、花は汚い、と入れてしまったらそれはその子の価値観となるのだ。いかに後天的にインプットされたものが大きいか。なぜ冷蔵庫は白くないといけなかったのか。なぜ白物家電という言葉が出来てしまったのか。怖いわー、いかに作為的な言葉のインプットで人は左右されてしまうのか。節電の前に、なぜそういう家電を必要とさせられてしまったのか、必要ないものを必要とさせるのがメーカーにとっての売ることなのだな。2012/05/28
かなこ
1
過去の科学啓蒙雑誌の語り口を読み解くことで白物家電やモダンライフ神話の系譜を追っている。それが現代の価値観に繋がっているということに気づきました。前置きで電気エネルギーや原子力について触れていたのでその辺りの話も加わるのかと思いきや、それはまた別の話でした。筆者の本を初めて読みましたが、ひとつひとつ丁寧に説明されており分かりやすかったです。2012/06/05
たくのみ
1
電気の持つ「親愛なるさりげなさ」、その本質が、過度の依存と神話を生む。「電気はイデオロギー」というより、そっちを強調したほうがいいのでは。 でも、とても読みやすく、電化製品の歴史的イラストや写真が楽しい。多岐な話題がうまく収斂していて、文章の展開がていねいで気持ちがいい。2012/04/21
takao
0
ふむ2017/09/28
-
- 和書
- 東方の光と影